「アニー」誕生の歴史
『アニー』が誕生したのは1924年。「ザ・リトル・オーファン・アニー(小さな孤児アニー)」という漫画として、新聞「ニューヨーク・デイリー・ニューズ」に連載されたのが始まりです。当初、原作者のハロルド・グレイは、大恐慌にあえぐ労働者階級の姿を捉えた風刺漫画を描く予定でしたが、直前で構想を変更。ほとんどの漫画が少年を主人公にしていた当時、11歳の孤児の女の子を主人公にしたこの物語は大きな反響を呼びました。逆境にあっても前向きで、明るい彼女のキャラクターは、不況にあえぐ多くの人々の心を掴み、新聞連載は50年以上も継続されました。アメリカではじめてミュージカル『アニー』が上演されたのは1976年のことでした。作詞・演出を手がけたマーティン・チャーニンは、友人へのプレゼント用に『アニー』の原作コミックに手を取りましたが、その世界に惹きこまれすぐに上演化の権利を取り、原作にはなかったアニーとウォーバックスの出会いを描いたミュージカルを制作しました。そして1977年、ミュージカル『アニー』がブロードウェイに登場します。アルヴィン劇場(現ニール・サイモン劇場)で幕を開けた本作は、開幕直後から話題となり、劇中歌『トゥモロー』が大ヒットするなど、空前の人気を博しました。この年、アメリカ演劇界最高の賞といわれるトニー賞でも、作品賞をはじめとする7部門を受賞し、ミュージカル史に燦然と輝く名作となりました。以降、1983年までの6年間で2,377回に及ぶロングラン公演を記録。その人気は衰えることなく、世界各地で繰り返し上演され、ラジオドラマ化、映画化もされました。日本でも昨年公開された映画『ANNIE/アニー』のヒットは記憶に新しいところです。
日本テレビ主催の『アニー』は、1986年4月に東京・青山劇場で初めて上演されました。演出家は篠﨑光正氏で、アニーの子役オーディションや、メイキング特番、『サンディ』の犬種など今に受け継がれる仕組みもこの時に誕生しました。15年を経て2001年より当時NYで活躍していたジョエル・ビショッフ氏が演出家に就任しました。オリジナル作品を尊重しながら、時代背景を知らない人にも理解できる内容に整理し、アニーの人気は不動のものとなりました。タップキッズもこの時誕生しました。
そして、今回16年ぶりに演出家が変わることになりました。山田和也氏です。また、新しい演出家のもと翻訳台本、編曲、振付、舞台美術、衣裳なども一新しパワーアップを遂げます。
アニーは2017年公演で32年目を迎えます。総上演回数は1,728回となり、全国で約167万人を超える皆さまにご覧いただき、まさに国民的ミュージカルとなりました。