2016年8月14日 放送内容ザ!レストア!DASH!! ~足踏みミシン~

かつて日本の生活や仕事を支え、まだまだ使えるのに、
いつの間にか忘れ去られた道具を、復活させたい!
“ザ!レストア!DASH!!"
城島と松岡がやって来たのは、瀬戸内海を望む、岡山県倉敷市・児島。
松岡「昔ながらの造りですよね」
江戸時代、三代将軍・徳川家光が作った港町として栄え、
400年経った今でも、その面影を残している。
城島と松岡が訪ねたのは、その中の一軒、約180年前に建てられ、以来
7代に渡って住んでいるという石原さんの御宅。
その屋根裏部屋に眠っていたのが、足踏みミシン。
城島「ばあちゃん家にあったな」
電気は一切使わず、足でペダルを踏むことで、針が動く。
サラリーマンの月給が4,000円の時代に、定価23,000円。
それは当時の給料半年分以上の高嶺の花で、年賀状の特等になるほどだった。
16年前に亡くなられた石原さんの祖母・ヒサ子さんが、
家族の衣服を縫うのに使っていたという、
この64年前の足踏みミシンに、新しい活躍の場を。
足踏みミシンは、足元のペダルを踏んだ力がベルトを伝わり、
ミシンの車輪を回転させ、針が動く仕組みだが…
松岡「ペダルは動くけど、車輪が動かないね」
城島「車輪が固い。動かない」
この車輪が回らなければ、連動する針も動かない。
壊れたミシンの修復は、TOKIOにも経験がない。
そこで、やって来たのは、同じ倉敷市内。
年代物のミシンがズラリと並ぶ、リョウザンミシン。
この工房には、現在でも数多くの足踏みミシンが修理に持ち込まれる。
ミシン職人の原田國弘さんが、今まで修理した足踏みミシンは、800台以上。
今では、電動が主流のミシンだが、
厚手の生地も一気に縫える足踏みミシンは、
硬い革を扱う鞄職人など、手放せない人も多い。
原田さん「相当サビてますね」
ミシンの内部にある、回転を伝える支軸には、64年分の赤サビが。
原田さん「サビたらミシンは動きません。サビを落とさないと」
ミシンが動かなかった理由の1つは、この内部の赤サビ。
赤サビは、放置すれば更に鉄の内部まで侵食し、
ボロボロになってしまう恐れが。
この赤サビを落とすのに使うのは、ワイヤーブラシ。
毛先の太さ0.3mm・6000本ものワイヤーが、1分間で360回転することで、
サビを落とすことができる。
松岡「キレイになってきた」
丁寧にサビを落とし終えると、支軸は新品同様に輝きを取り戻した。
続いて、城島が気になったのは「釜」
手で縫う際の、指先に当たる重要なパーツ。ここにも赤サビが。
このままだと、表面が赤サビでザラザラになり、
釜に通った糸が滑らずに切れてしまう。
松岡「ワイヤーブラシだとだめなのかな」
ワイヤーブラシは、表面を削る事に優れているが、
その尖った毛先が、細かい傷を作り、
その傷に糸が引っかかり、糸切れの原因に。
原田さん「釜は、布で磨く」
目が細かい綿の布を、100枚縫い合わせたバフ。
毛先の太さは0.02ミリ程度で、ワイヤーブラシのおよそ15分の1。
磨いた表面は鏡の様に滑らかになり、糸が切れる心配もない。
さらに、針を固定する針棒にもサビが。
針棒は車輪から伝わった力で、上下に動く、まさにミシンの肝。
見た目では分かりづらい、サビによってできるわずかな段差が、
滑らかな針の動きを妨げる。
針棒にできていたのは、摩擦などで高温になる金属などにできる黒サビ。
フライパンなどの周りに黒くこびりつくのも、この黒サビ。
放っておくと、段々と膜のように積み重なってしまい、段差ができる。
黒サビを落とすのに使うのは、ドリルの上下運動で穴を空けるボール盤。
ボール盤を使うことで、全体を均等に研磨できる。
ドリルをさす位置に、針棒を固定し、紙ヤスリを当てれば、
黒サビだけが落ち、針棒を傷つけない。
松岡「表面がツルツルになった」
さらに、ミシンの内部にできていたのは、白サビ。
内部に使われる亜鉛合金にできやすく、進行が非常に遅く、
鉄そのものは浸食しないが、細かい粉のような錆の粒子は、
根詰まりの原因になる。
今までのように機械が入らない場所は、手作業でブラシを使って磨く。
滑らかな動きを保つ、ミシン油。
ミシン油は、同じように鉄同士の摩擦を減らすグリスと比べ、
粘り気が少ない分、わずかな隙間にも入り込める性質がある。
長持ちさせるコツは、油を定期的にさすこと。
油をさし終え、動作を確認すると、車輪、針ともに問題なく動いた。
仕上げに、ツヤ出しワックスでミシン全体を磨いて、本体の手入れは終了。
続いては、ペダルと車輪を連動させるためのベルトを取り付ける作業。
革製のベルトは、経年劣化によって朽ちてしまっていたため、新品と取り換える。
ベルトは、今でも修理用として、3軒ほどの工場で作り続けているという。
ベルトカンと呼ばれる金具を使い、革同士をつなぎ、
64年前の姿が蘇った。しかし・・・
城島「アレ?縫えてないな…」
本来なら、針が一番下がった所で、釜が糸をすくい縫い目が作られるはずが、
縫い目ができない。
その原因は、針の位置が高く、釜まで届かず、糸をすくえないこと、
しかし、下げ過ぎれば、釜と接触し、針が折れてしまう。
そこで、針を固定する針棒の高さをわずかに微調整する必要がある。
その差は、1ミリ有るか無いか。
針棒を慎重に上から叩き、針の位置をわずかに下げる。
針を下げて、改めて試してみると…
松岡「縫えてるよ!」
松岡「生き返ったね!」
これで、どんな分厚い布も縫える。
復活した64年前の足踏みミシンに新たな活躍の場を。
2人がやって来たのは、岡山県瀬戸内市、牛窓ヨットハーバー。
ここに、困っている若者たちがいるという。
彼らは、岡山大学ヨット部。

その困っている理由は、ヨットの帆を見てわかった。
松岡「結構直してるね」
帆には、破けた部分を縫った跡がいくつも。
副主将の八木さんによると、風が強い日には、
帆に多大な力が掛かり破けることも多いという。
彼らはおよそ20年前の帆も自分たちで修理して使っているという。

わずか5センチの穴でも修理には時間がかかり、練習時間も削がれてしまう。
そんな彼らの元に復活した足踏みミシンを。ところが…
学生「机?」
学生「電源は必要ですか?」
平均年齢20歳の彼らには、古めかしい姿。
松岡「電源なしで、外でも直せます」
実際に、破けた帆を足踏みミシンで修復!
手で縫えば8時間以上はかかるものが、わずか3分で!
これには、ヨット部員も大喜び!
屋根裏にずっと眠っていた、64年前に作られた足踏みミシンに、
新たな活躍の場所ができた!
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