パイナップルとは・・・・
パイナップル科アナナス属の常緑多年草。原産地は熱帯アメリカ。
160年ほど前に日本に入り、昭和になってから暖かい気候の沖縄で栽培は本格化した。
今では身近なフルーツとして知られているが、一般的なものに比べ完熟のものは、味・香りともに格別。果実の形が松かさに似ており、味はリンゴに似ているので、【パインpine アップルapple】と名づけられたと言われている。
糖度は同品種の露地もので13〜15度。ハウスもので15〜17度。 植え付けてから1年半〜2年で収穫できる。

2008年 5月上旬 土づくり/定植
沖縄の農家の方から「吸芽(きゅうが)」と呼ばれる苗の1種を譲って頂いた。
パイナップルは、15℃になると生長が止まると聞き、まずは温度を考えハウスを2重構造に改築。
さらに、パイナップルは酸性の赤土を好むということで、村の中で最も適していた牧草地横の斜面の土を掘り出し、ハウスの中の黒土に仕切りをし、50センチほどの赤土をハウス内に入れ込んだ。
さっそく、沖縄の農家の方から頂いた苗を6株定植する。まずは根を張らせ、葉を増やすことがポイントとなってくる。目標は40枚の葉で、そこから花が咲き実となる。村のパイナップルは13枚からのスタートとなった。

2008年 5月下旬 葉枯れ/黒マルチ対策
2週間後、葉先の部分から枯れてきてしまった。そこで、バングラデシュからの留学生エムティのアドバイスで葉の枯れてしまった部分を落とすことに。
葉が枯れてしまったのは、根が活着せずに栄養が吸い上げられなかった結果であり、このままにしておくと、葉からカビが生える可能性がある。
さっそく枯れた葉先を切り落とし、もう1つの対策として地温をあげ、根の働きを活性化させるために、メロンの時にも使用した黒マルチを敷いた。

2008年 6月上旬 栄養不足/鴨糞対策
新芽がしっかりと伸びてきた中、葉の色の異変に気付いた。
本来、緑である葉が赤くなってきてしまった。
エムティによると、葉が赤くなってしまったのは、伸び盛りのパイナップルに栄養が足らないというシグナルであり、肥料を与えたほうが良いとのことで、葉を大きく育てる窒素とリン酸が豊かな肥料として、鴨の糞を採取し乾燥させ、パイナップルの畝の間にまいた。


2008年 7月 葉が緑色に
鴨糞の効果があったのか、赤くなっていた葉も緑に変り、苗全体が緑濃くなってきた。

2008年 8月 葉の枚数が増加
晴天が続き、一気に葉も生い茂ってきた。

2008年 9月 夏の生長確認
定植時13枚だった葉が、夏のおかげもあってかいっきに増え31枚に。花芽がつく目安にはあと9枚。

2008年 12月 冬の温度対策
15℃以下になれば生長が止まってしまうパイナップルとあって、寒い冬も床暖房の熱でハウス内を暖めて続けた。その暖かさで、葉も問題なく生長した。

2009年 3月 エチレン対策
冬の間も無事生長を続け、葉の枚数が43枚に。
葉も出揃い、そろそろ花芽がついてもいい時期だが、村のパイナップルにはまだ1つもついていない。
そこで、沖縄の方から聞いてきた「エチレンで花芽を誘導する」という作戦を試してみるとことに。 パイナップルなど一部の植物は、エチレンガスで花芽形成が促進される性質があり、さっそく村内でエチレンガスを発生するものを探してみる。ラフランスの追熟にも使用したリンゴはエチレンガスを発生させるが、今は収穫時期ではない。そこに、明雄さんが「ジャガイモの新芽からもエチレンガスが出る」とアドバイスをしてくれ、株横にジャガイモを置くことに。
エチレンガスは、昼間よりも夜に多く発生するということで、エチレンガスが逃げないようにパイナップルの部分だけにビニールをかぶせ、ジャガイモをパイナップルの根元に数個置いた。結果が出るのは1ヶ月後。


2009年 4月 花芽出現
ジャガイモのエチレンガス効果もあってか、待望の花芽が出てきた。


2009年 5月中旬 花咲き
1ヶ月で蕾も膨らみ、よくやく花も咲き始め、パイナップルの表面の雰囲気が出てきた。
パイナップルの花は紫色で、通常だと100〜150個の花が咲く。しかし、村のものは約61個しかない。そして、この時点で村の実の部分は7cm、沖縄で収穫出来るパイナップルの実の大きさは20pほどとの事。
花は少なくなってしまったが、20pの大きいパイナップルを目指す為、1粒1粒を大きくさせるしかない。


2009年 5月下旬 日光反射作戦
天気の良くない日が5日ほど続き、ハウス内のパイナップルの生育も優れない。
ハウスの室温は問題なし、問題を日光にしぼり、少しでも多くの光がパイナップルに当たるように、6年前始めて桃を作った時にも試した反射シートを畝の間に敷くとこに。

2009年 6月 冠芽(かんが)芯止め
開花時7cmだった実の大きさは10cmまで生長した。
実が生長すると共に、パイナップルの冠芽と呼ばれる部分も大きく生長し、実を大きくするためにも、これ以上冠芽に栄養を取られてはいけないということで、冠芽を4cmほど切り、木ヘラで生長点をかきとるとこに。沖縄でもこの「芯止め」という作業が行われている。


2009年 7月 膨らみ確認
冠芽を止めてから、一気に実が膨らみ始めた。そして、パイナップルの色も赤から深い緑色に変り、実の大きさも14cmまでに生長。


2009年 8月 色づき確認/収穫
深緑色だった実は、鮮やかな黄色に色づき、待望の収穫を迎えることとなった。
色だけに限らず、ハウス内はパイナップルの甘い香りが広がり、待望の収穫。
糖度も16度と(一般的なパイナップルは13〜17度)、上々の出来映え。
完熟のパイナップルを食べたのは初めてで、今まで食べてきたパイナップルの中でも一番甘くておいしかった。




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