立春間近の村なのに、春には程遠い寒さが続いている。 この寒さで水車の輪も氷柱に包まれ冬休み。 そんな中、水車に替わり粉を挽いてくれる優れものが完成した。 |
それは手回しの「石臼」。まさか私達の手で石臼ができるとは思ってもみなかった。 あんな硬い石を私達の手で加工できるのか、不安ばかりが頭をよぎった。 石臼の原料となる火山岩を採取したが、それは丸い石臼とは程遠いただの石の塊だった。 本当に石臼ができるのか、さらに不安は募った。 |
さっそく蕎麦にして食べてみると、打ち手の腕のせいか、寒晒したそばの実のせいか、苦労して作った石臼のせいか、香りもよくて歯ごたえもあり、いくらでも食べられそうな気がした。挽き立て、打ちたての蕎麦を食べられるなんて最高の贅沢かもしれない。 |