世界が注目!モデルに憧れた少女
今年6月、ある一人の少女が世界中から注目を浴びた。
モデルのマデリーン・スチュアートさん18歳。彼女はダウン症だった。
モデルの夢を実現するために歩んだ母との二人三脚の道のりとは?
"待望の娘はダウン症だった"
1997年、オーストラリア。
母ロザンヌは1人の女の子を出産した。
マデリーンと名づけられたこの女の子は、ダウン症であることが判明した。
ダウン症は、知能の遅れや筋力が発達しにくいなど、早期のトレーニングや
サポートが不可欠な先天性疾患のひとつ。
医師からは、マデリーンの知能は10歳以上には成長しないだろうと宣告された。
ショックを受ける母のロザンヌ。
さらにダウン症の患者によく見られる心臓疾患もあり生後3か月で手術を受けた。
手術は成功したものの、泣くと心臓に負担がかかり命に危険を及ぼすため
ロザンヌは通常泣くのが当たり前の乳児が泣かないように努めた。
その他、眼科や循環器科、耳鼻科などダウン症の症状により様々な病院で
治療を受ける必要があったマデリーン。
そんな中、ロザンヌと4カ月になるマデリーンを残し、夫は家を出ていった。
シングルマザーになったロザンヌ。でも娘の笑顔は失いたくない。
ここから母と娘の戦いが始まった。
"母と娘の二人三脚。娘は夢を抱くように"
ロザンヌはダウン症とその育児について必死に勉強。
自宅にスロープ付きの階段を作り娘の筋力トレーニングに努めたり
理学療法士の元に通い日常動作を専門的に学んだ。
その甲斐あって、通常2歳か3歳にならないと歩くことが出来ないと言われたところを
マデリーンはわずか15か月で一人歩きが出来るまでになった。
そして3歳になるころには徐々に体力が付き、病気に負けない身体になっていった。
人の何倍もかけ、少しずつ成長していくマデリーン。
幼稚園に入るころには少しずつ話せるようになり、その明るさから友達も出来た。
スポーツ、遊び、勉強など様々な事にチャレンジする活発な女の子になった。
そんな彼女が17歳になったとき、ある転機が訪れた。
地元のブリスベンで行われていたファッションショーを見て
煌びやかな衣装を身にまとい美しくステージを歩くモデルに魅了された。
いつしかマデリーンはこのモデルの仕事にあこがれを持つようになっていた。
"モデルを夢見る娘。世界に羽ばたく"
母に自分の夢を伝えたマデリーン。母は戸惑った。
モデル業はスタイルが命。
ダウン症の患者は体重が増えやすくモデルのスタイルになるには相当な努力が必要だった。
ロザンヌはサラダとドーナツを娘に与え、どちらを食べるか聞いた。
娘がどれだけ本気か試したのだ。娘は迷わずサラダを選んだ。
そんな娘を見てロザンヌも本気で応援しようと心に誓った。
マデリーンはツラい食事制限に耐え、週に3回ジムで体を絞った。
その努力の結果、以前は64キロあった体重が44キロに。
その様子をロザンヌがSNSにアップすると、瞬く間に世界中に知れ渡った。
マデリーンを取り上げたニュースはオーストラリアのみならず
アメリカをはじめ世界中で報道され、関心を集めた。
今年の8月、彼女の元にアメリカからある依頼が届く。
新進デザイナーによるチャリティーショーのモデルに抜擢されたのだ。
憧れの舞台を堂々と歩くマデリーン。ついに彼女の夢は叶った。
その後もブランドバッグのモデルなど次々に彼女の元にはオファーが舞い込んだ。
いくつもの壁を乗り越えて親子でつかんだ奇跡。
これからも2人の挑戦は続く。