若い人の突然死 不整脈の恐怖
健康に見えた10代の若者が、予期せず帰らぬ人に...。
心臓突然死。それは、心臓の不整脈によって引き起こされる事が多い。
心臓から脳への血流が止まると、数秒で意識を失い、そのままの状態では数分で死に至る。
日本での心臓突然死は年間6万人以上とも言われ、
それは毎日160人が亡くなっている計算になる。
世界でも数多く発症している不整脈による心臓突然死の恐怖とは?
"受験勉強でたまるストレス"
イギリス中部レットフォード。
突然この世を去ったティーンエイジャー、
アレクサンドラ・レイド。16歳だった。
明るく、スポーツ万能。11歳の時、水泳でイギリスのジュニアチャンピオンにもなった。
成績も優秀で、その美貌からモデルの仕事もしていた。
健康に見えた彼女が突然この世を去った。その2週間前からの記録がある。
2012年6月。
アレクサンドラの父は内科医。母は大学で講師。超エリート家族だった。1つ下に妹もいた。
彼女の夢は医者になる事。
イギリスの義務教育は16歳まで。
その後は卒業試験の結果によるが、大学に進学するため、2年制の学校に進むことができる。
大学進学を目指す彼女は卒業試験のための勉強に追われていた。
連日の勉強でストレスがたまっていたアレクサンドラ。
日本の専門医によれば、精神的および肉体的ストレスは重篤な不整脈を引き起こす
原因の一つとなる。
学校が遠いため、起床はいつも6時。
そしてこの日は、試験は全部で10教科。何日かに分けて行われる。
テストの手応えはあった。
残すはドイツ語のみだが、そのドイツ語が一番苦手だった。
テストも一段落し、いつもの明るさが戻ってきたアレクサンドラ。
彼女には、同級生の彼がいた。
元気にデートを楽しんだのだが...彼女の体に異変が起き始める!
"風邪を引いたことが引き金に?"
デートの翌日。
どこか体がだるく倦怠感があった。
彼氏の風邪がうつったと思われた。
試験前の娘を心配した母親は、かかりつけの医師を呼び血液検査もしてもらった。
日本の医師によれば、風邪が悪化し、風邪のウイルスの一種が心臓に感染し、
重い炎症を起こすと、重篤な不整脈を引き起こす場合もあるという。
しかし彼女は、この時心配する程のものではないと言われた。
翌日、土曜日。
アレクサンドラはすっかり元気に。土日は家で家族とのんびり過ごし、
月曜日は夢である医療の現場を見学した。
その夜、ロンドンオリンピックの聖火リレーのイベントへ。
実はそこで、妹が歌を披露する事になっていた。
このイベントでアレクサンドラは元気に踊っていた。
致死性不整脈は、突然死の直前まで元気な場合もあるという。
したがって家族も周りも深刻な状態になっている事に全く気付かない。
翌日も医療の現場を見学し、その夜。
両親が出かけている間、姉妹でカップケーキを作りテレビを見てのんびりと過ごした。
その後は、自分の部屋で最後のテストのドイツ語の勉強をしていた。
アレクサンドラはなぜかその時、胸がドキドキして眠ることが出来なかったという。
母は、娘がドイツ語の試験の事でナーバスになっていると思った。
"突然、彼女の命が奪われる"
翌朝。
いつまでたっても娘が起きてこない。
寝坊なんてしない子だったのに...父親は不思議そうに部屋まで起こしに行った。
娘を起こそうと体に触れると、そこには青ざめた娘の姿が。息をしていなかった。
父は懸命に心肺蘇生を行ったがアレクサンドラは息を吹き返さなかった。
あまりにも突然の事だった。
イギリスでは死因が分からない場合、医師が検死を依頼する。
その結果、驚くべき事実が判明した!
アレクサンドラは心臓の主要な血管である右冠状動脈がつまっていた。
それにより、心室細動のような致死性の不整脈が起こって突然死したと考えられた。
不整脈により16歳の若さでこの世をさったアレクサンドラ。
仰天スタッフは、遺族のもとを訪ねた。
今もそのままにしてあるというアレクサンドラの部屋。
この中だけは、時が止まったままだという。
彼女の両親は今、幼少期から心臓の定期検診を受けられるよう求める活動をしている。
実は、イタリアでは12歳からスポーツをする人を対象にした心電図検査が導入され、
心臓突然死が90%減少したという報告もある。
大切な命を無駄にしないためにも...不整脈の恐ろしさを知ってもらいたい。