チュートリアル福田 急性すい炎との闘い
2011年。
チュートリアル福田はふくよかな体格をしていた。
ところが1か月後...その姿は変わっていた。一体なにが起きたのか!?
"仕事のストレスで酒に溺れる毎日"
2006年、M-1グランプリで優勝したチュートリアル。
この年の休みはわずか1日。彼らにとっては嬉しい悲鳴だった。
しかし、福田は何かモヤモヤしていた。
芸人としての力不足を痛感し、日々の仕事をこなすだけで精一杯。
自分はこのままでいいのだろうか?
そんなモヤモヤを、福田は酒で忘れようとした。
この頃の福田はビール2リットルに焼酎をロックで3杯。
これをわずか1時間で飲み干し、倒れるように眠る。
毎晩こんな生活を続けた結果、病はなんの前触れもなく襲ってきた!
2011年1月。
正月は生番組に出続け、人より遅い正月休み。
朝から酒を飲んでいた福田のみぞおちに突然の激痛が走った!
内臓を剣山で叩かれ続けているような痛み!しかも時間が経つにつれ、強くなる。
マネージャーに連絡をし、病院へ。
病名は急性すい炎。
胃から十二指腸へ食べ物が送られると、すい臓は"すい液"という食べ物を溶かす、
強力な消化液を作り、十二指腸内で分泌される。
しかし、何らかの原因で、すい液がすい臓自体を溶かしてしまうことがある。
これがすい炎。
重症化した場合、すい液が他の臓器をも溶かし、10人に1人が死亡すると言われている。
急性すい炎の原因として最も多いのがアルコール。
そのメカニズムは未だ明らかになっていないが、
1日のアルコール摂取量が60g以上、ビールなら1.5リットルで危険とされる。
福田はもちろんアルコールが原因だった。
すぐにすい液の消化力を抑える薬液が投与された。
腹部の激痛は三日三晩続いた。
"絶食・絶飲、水なし地獄の日々"
しかし、本当の地獄はここからだった。
なんと、絶食・絶飲!つまり何も口に入れてはいけない。
それは飲食によりすい臓が反応し、すい液を出してしまうため。
その間の水分補給、栄養補給はすべて点滴で行われる。
ピーク時ほどではないが、腹部には鈍痛が残っているため、食欲はわかなかったが
とにかくつらいのが...喉の渇き。
考えるのは水のことばかり。水なし地獄は、とても長く感じた。
そして一週間後、医者からついに水を飲んでも大丈夫と言われた福田。
一週間ぶりの水、これほどうまいと感じたことはなかったという。
流動食を食べられるようになったのは、入院から10日後。
水ほどの感動はなかったが、順調な回復がうれしかった。
入院は1か月間にも及んだ。
仕事に穴をあけ、相方の徳井はもちろん、たくさんの人に迷惑をかけた。
仕事のありがたさを感じた。
そして...酒に逃げ、仕事に向き合っていなかったことを恥じた。
すい炎の原因であるアルコール。しかしこれは、体質によるところが大きい。
福田も含め、一度すい炎にかかった患者は、すい炎になりやすい体質であるため、アルコールを摂取すると、再びすい炎になる可能性が高い。
あの苦しみは二度と味わいたくない。あれだけ酒好きだった福田は退院を機に酒を制限した。
また、すい臓に負担がかかるため、塩分・脂肪分なども制限された。
肉やスナック菓子、ファストフードは食べられない。
病気になる前は、酒のつまみのレシピ本を出すほど酒好き、油料理好きだった福田。
それが、米・ノンオイルドレッシングをかけた蒸し野菜・ささ身程度しか
食べられなくなった。
1か月で体重は、病気の前からマイナス15kg。わずか45kgに。
アルコール・食事制限は今も続いている。