放送内容

2017年10月17日 ON AIR

占い師に全てを奪われた女性の悲劇

ある女性が一冊の有名女性誌の広告を見ていた。
それは、電話占いの広告だった。
相談料、20分4200円。延長も可能。


しかし実は、この電話がきっかけで
わずか2年半の間に1億円以上の金を占い師に奪われてしまう!
その信じられない手口とは...


"占い師との出会いが人生を変えていく"


彼女の悩みは、恋愛についてだった。
気になる男性がいる...占い師に電話相談すると、その男性とは凄く相性がいいという返答が。
さらに、占い師の言葉を信用して今後も相談してくれれば、結婚まで持っていけるという。


女性は占い師の言葉が嬉しかった。
そして翌日、相談料を指定口座に振り込んだ。


彼女は、2人の子どもを持つシングルマザー。
この先、1人で子育てする自信が持てず、その不安を解消したかったという。


その後もあの占い師に電話した。
親の愛情を受けずに育ったと思っている女性。頼れる友達もいないという。
占い師はただ耳を傾け、話を聞いてくれた。


そんなある日、占い師からお菓子が届いた。
同封されていた手紙には彼女を励ます言葉が書いてあった。
気になっていた男性よりも、占い師の存在の方が日に日に大きくなる。


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その後も、週2回ほどの電話相談とほぼ毎日のメールが続く。
相談料で月8万円を超えることも。


"家族を捨て占い師の元へ"


一方、生活は荒んでいく。
占い師との電話中、お腹がすいてせがむ子どもを怒鳴りつける女性。
占い師との時間はかけがえのないもの。
それだけに、占い師との時間を子どもが邪魔していると思うようになっていった。


そして、電話相談を始めてから10か月が過ぎた頃。
占い師はとんでもないことを言った。


「あなたと子どもは相性が悪い。このままだと、いずれお互い不幸になる。」
だから「離婚した元夫に親権を譲った方がいい」と。
さらに、占い師は子どもと離れて自分の近くへ引っ越してくるよう勧めた。


確かに先生の言う通りかもしれないと考えた女性は、
なんと子どもと離れ、占い師のもとへやってきた。


ついに本人と会える日。目の前にはあの占い師が。
占い師は占い業の他に脚本業もこなし、有名人とのつながりもあると自ら言った。
そして自分を母親だと思って欲しいと彼女に言った。


この言葉は、頼れる家族のいない彼女の胸に響いた。
心の隙間を埋めてくれた占い師。
そんな彼女に占い師が用意した新居は自分の持ち家のマンション。
家賃は月々27万円だという。


女性はそんな家賃は払えないと言ったが、
占い師は自分の身の回りの雑用を手伝ってくれたら、家賃分の報酬を支払うといい
女性を住まわせた。


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27万円という高額な家賃...しかし、これで1億円以上をむしりとった訳ではない。
もっと恐ろしい巧妙な手口で金を作らせ、奪っていく。


"優しかった占い師の態度が豹変する"


こうして占い師のマンションで暮らすことになった女性。
占い師に命じられた雑務とは、ほとんどが買い出しだった。


それを、電車で数駅離れたところにある占い師の自宅に届けるというもの。
その際、顔を合わせることはない。
品物は宅配ボックスに入れ、届けたことをメールで報告。


自分の生活費はアルバイトで稼ぐしかなかった。
しかし、アルバイトの勤務が始まる時間に、占い師から電話で雑務を命じられることも。
女性にとって、占い師の言葉は絶対だった。


こうしてアルバイトに遅刻する。
こんなことが頻繁に続き、アルバイト先はどこもクビに。
社会から孤立していく女性。


この頃から占い師の態度が豹変する。
女性の仕事レベルが家賃に満たないから給料が支払えないと言ってきた。


そして占い師に勧められ、消費者金融を利用した。
家賃とその月の相談料も支払うため、40万円ほど借りてしまった。


さらに占い師は、借金が普段のアルバイトでは返せない事、
自分への相談料が数百万になっていると言い、こんな事を言い出した。


昔、占い師が不動産業をやっていた時に、家賃滞納している若い女性がいて、
その女性は数日待ってくださいと言って、その後毎日2~3万持ってきたという話だった。


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つまり、占い師にこう言われ、
女性は考えたこともなかった風俗店での仕事をする事に。


ひどいストレスが彼女を襲った。吐くことが止められない。
そして、1週間後...事件が起きた。


"慰謝料を請求され、ひたすら返済する毎日"


女性が頻繁に吐いたことで住んでいるマンションの排水管が詰まり、調査や修理費用、
加えて住民への慰謝料でマンションの管理会社からなんと数千万円という莫大な金額を
請求された、と占い師は女性に告げた。


占い師に言われるがまま女性は借用書にサインし、数千万の返済を約束。
さらに休みをとることはできなくなった。


女性は朝9時から4時間と16時から8時間すべて出勤。
そしてその激務の間、休憩時間である13時から16時に占い師の雑務をこなす。


品物を占い師の自宅に届け、風俗店にとんぼ返り。
8時間の勤務をこなし、日当を現金で受け取ると再び占い師のマンションへ。


その日の稼ぎをメモし占い師のポストに入れた。そして届けたことをメールで報告。
彼女の稼ぎは占い師のものとなり、女性はまともに食べ物も買えず体重は激減した。


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同僚がくれるもので、なんとかつなぐ日々。
こうして女性と占い師の歪んだ主従関係は続いていった。
なんと女性は2年半の間1日も休まず、1億円以上奪われてしまった。


女性が届ける稼ぎを占い師は口座に入金。
優しさと恐怖を使い分け、大金を奪い取っていたのだ。


しかし、いつまでもこんな事が続くはずがない
占い師と女性の行動を監視する、ある人影があった。


"国税局が動いたことで運命が変わる"


国税局資料調査課の職員が
女性の税金の申告漏れを見つけ、半年前から調査していた。
そして女性と接触した調査官は聞き取り調査を始めた。


家を訪れた調査官がみた女性の実態は、電気・ガス・水道も止まり、
自由に使えるお金はほとんどない、悲惨な状態だった。


そして調査官は、本当に借金があるのか彼女に切り出した。
実は、排水管異臭騒ぎの損害賠償請求に関する資料が占い師の家から
一切でてこなかったのだ。


この時点でも彼女は占い師を疑っていなかったが、
2年半で1億円を稼いだ彼女の収入は確定申告をして納税しなければならない。
そのため数千万円の納税の義務があると調査官は伝えた。


この信じられない額の支払い義務に、女性はどうすることもできなかった。
唯一、納税できる方法は占い師から返金してもらうしかない。
しかし、占い師は応じなかった。現金での受け渡しだったため、証拠がなかったのだ。


このあまりに不条理な現実に、ようやく女性は少しずつ目が覚めていった。
そして、数千万の納税義務を負った女性は、1人の弁護士に依頼した。


物証がなく不利な状況ではあったが、弁護士は力になることを約束。
まず弁護士は異臭騒動が起きたというマンションの管理会社へ連絡した。
そこで異臭騒動は占い師のまっかな嘘だと分かった。


そして、数回に及ぶ裁判。
占い師はほとんど姿をみせなかったが、3年後の判決の時。
ついに占い師に、およそ1億円の返金が命じられた。


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物的証拠が乏しい中、女性が占い師によってマインドコントロールされていた事実を
法廷が認めたことが大きかった。
女性は占い師から返金された中から納税し、今はひっそりとどこかで暮らしている。


しかし、これはあくまでも民事裁判。弁護士は女性に刑事告訴をすすめたが、
女性はもう忘れたいからと、刑事告訴はしなかった。
そのため占い師は罪に問われていない。


たった一本の電話から始まった地獄の日々。
マインドコントロールは誰でも陥る可能性がある。ぜひ、気をつけてほしい。

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