自分のせいで他の人がアレルギー?
仰天スタッフはある女性のもとを訪ねた。
迎えてくれたのは40代のごく普通の女性。
実は彼女、自分自身が他の人にとってアレルゲンになることがあるという。
彼女が訴えている症状とは...
「People Allergic To Me」、つまり「私にアレルギーを示す人」という意味の
頭文字をとって、「PATM(パトム)」と呼ばれている。
自分自身が、人々にアレルギーを引き起こすPATM。一体どういうものなのか?
周囲にいる人が訴える違和感とは
その奇妙な症状に気づいたのは6年前。
当時、中学校でアシスタントティーチャーをしていた彼女は、
生徒たちに学習指導の補助を行なっていた。
一方で、別の資格をとろうと仕事終わりに専門学校にも通い始めた。
忙しさのせいか疲労感があり、体がだるくなった。
熱はなかったが、明日のために早めに就寝するよう心がけていた。
それでも、いくら寝ても疲れがとれない...こんな状態が1年ほど続いた。
すると、彼女の周りで奇妙な出来事が起きた。
授業中、突然異臭がすると訴える生徒が。
だが女性は、そんなニオイを感じなかった。
少しして、今度は生徒から目や鼻の違和感を訴え始めた。
しかし授業が終わり教室から離れると、その生徒の症状は治まっていた。
別の教室に行くと、そこの生徒にも似たような症状が現れた。
その奇妙な症状は、毎日のようにどのクラスの生徒にも起こった。
そして症状は子どもたちに限らず、職員にも起きた。
まさか自分が原因では?
気になった女性は、時間をかけて入念に体を洗い
衣類や下着は消臭効果のあるものを身に付けるようにしてみた。
それでもやっぱり自分の周囲にだけ奇妙な反応が起きている。
消臭スプレーも持ち歩くようにし、休み時間のたびに吹きかけた。
しかし、自分が近くにいると周囲から奇妙な反応が出続けた。
不安になり両親に相談したが、なぜか両親には全く反応がでない。
原因はわからないが、自分のせいで周りの人が迷惑している。
そう思い、好きな仕事で辞めたくはなかった学校勤務を不本意ながら退職することに。
その後、彼女は生活のため職を転々とするが、どの職場でも何人かは
同じような症状を訴えた。
周囲に反応が出たらすぐに席を立つという生きづらい日々が続いた。
彼女の皮膚から石油化学物質と同じ成分が
症状が出始めて6年が経った頃。
ネットの掲示板で「PATM」という症状の書き込みを見つけた。
すぐにPATMの診察を行なっている病院を探し出し、訪れた。
そこで、自分の身体で何が起きているのか検査を行うことに。
まず受けたのは「皮膚ガステスト」という検査。
皮膚ガスとはオナラなどの生体ガスの一種。体の表面から出ている300種類以上もの
ガスの総称で、子どもから年配者まで誰からも出ているもの。
そこで驚きの事実が判明する!
検査の結果、彼女はいくつかの物質が出ている中で、
石油化学物質であるトルエンが高く出ている事が判明した。
トルエンとは、ペンキなどの塗料や、接着剤などの溶剤として使われている石油化学物質。
毒性が強く、複数の法律で厳しく規制されている物質だった。
今のところPATMのメカニズムについては不明な点が多いが
一説では、こうした皮膚ガスとして放出される化学物質により、
自分ではなく周囲の人がアレルギーのような反応を示してしまうと推測されている。
トルエンという成分はシンナーやガソリンのような匂いがあり、
人に対して目や喉や鼻に刺激を与えることがある。
周囲に化学物質に過敏な人がいた場合、アレルギーのような症状が出る事があるという。
診察を受け治療を始めて2年。
彼女は現在も腸内環境を整え、体の解毒機能を高めるといった
サプリメントを数種類飲み治療中だという。
治療の効果で症状は大きく改善されたといい、
スタッフが本人に了承を得て体に近づいても特にニオイはせず、
目や鼻、喉に違和感が出ることもなかった。
だがこの女性のように、全てのパトムの人が改善されるわけではないという。
自分自身がアレルギー源という奇妙な症状「PATM(パトム)」。
今後の研究が待ち望まれる。