放送内容

2019年1月29日 ON AIR

足の裏で血液が壊れる!?

スポーツで体を鍛え、健康に!
ところが...スポーツが原因である病気になることも。
2007年、関東地方のある町...中学3年の少女にそれは起きた。


明るい彼女はバレー部のエース。将来を期待される有望選手だった。
だが、あることで悩んでいた...それは、ひどく疲れやすいこと。
試合では常に大活躍だが、終わると立っていられないほど疲れる。


自覚したのは2年前...バレー部入部直後のことだった。
小学生の時、県の最優秀選手に選ばれたほどの実力の彼女。


しかし、思わぬ壁に直面する。
それは小学校の時はやったことない走り込みをした時のことだった。


同学年のチームメイトに全くついていけず、人より何周も遅れた。
そして試合や練習後は、疲れ果てて話も出来ない...だるくて、いつも横たわっていた。


もっと食べて体力つけないと!
そう考えて、食事は人一倍食べるようにしたが...疲れやすさは変わらなかった。


そんな様子を見て、先輩からは「練習態度が悪い」と怒られることも。
両親は、地域のスポーツ団で少年バレーの指導をしていた。
寝てばかりの娘を見て、ただダラけているだけと思っていたという。


みんな、私と同じ苦しさに耐えているんだ。しんどく感じるのは努力が足りないから。
彼女はずっとそう思っていた。


検査で判明した体の異常とは


苦しさに耐え、病気だと気づかぬまま2年...
ついに彼女を悩ませる症状のナゾが明らかになる!


中学最後の大会を間近に控えた頃。チーム強化のため、高校生との合同練習が組まれた。
その練習中、また...。今日はさらに疲れがひどい。


すると...高校チームの指導者が異変に気付き、彼女を病院へ行くよう勧めた!


自宅近くのクリニックに連れて行かれ検査すると、
ヘモグロビン値が正常の半分も無いことが判明し、「ひどい貧血」だと診断された。


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「貧血」とは、そもそも...血液中の赤血球数や、ヘモグロビンの濃度が低くなった状態。
ヘモグロビンは、血液が酸素を運ぶのに必要なため、貧血になると体が酸素不足の状態になる。
そして、めまいや頭痛、息切れ、倦怠感など、様々な症状が出る。


体が急に成長する時期は、血液や筋肉の増加とともに鉄分が不足しがち。
さらに女性は月経がはじまる時期でもあり、より鉄分不足による貧血が起きやすい。
鉄分は体内では作れないので、食事などで摂る。


とはいえ家の食事は、鉄分が足りないというメニューではなかった。
実は、彼女の症状は「スポーツ貧血」というものだった。


スポーツ選手は活動量が多い分、酸素をより多く運搬する必要があり、
鉄分も多く必要となる。


しかも運動中には、大量の汗をかく。鉄分は汗と共に流れてしまうので、
激しいスポーツほど、鉄分を失いやすい。


そして、医師によるとこのまま激しい運動を続けると、命の危険もあるという。
貧血の体で激しい運動をすることは、心臓に過度の負担をかけ、
心不全を起こす危険があるのだ。


足裏の衝撃で起こる「溶血性貧血」


その後は、毎食後処方された鉄剤と、鉄の吸収をよくするビタミンCの薬を飲んだ。
すると2週間後。ヘモグロビン値もある程度回復し、部活に復帰。
すると...これまでの疲れやすい体が一気に改善された。


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苦手だった長距離走でもチームでぶっちぎりのトップに!
それにしても彼女はなぜ、こんな貧血になってしまったのか?


スポーツと貧血に詳しい専門家によると、
足裏に衝撃を受けることで血管の中で赤血球が壊れてしまうことがあるという。
これが、溶血性貧血という症状。


彼女を苦しめていたのも、バレーボールのジャンプによる衝撃や
練習メニューで長距離走を多くしていたことが、貧血発症の一因と考えられる。


長い時間、硬い路面を走り続ける陸上長距離、
素足で強く踏み込んだりする剣道や空手...さらにジャンプと着地を繰り返す体操や、
バスケット、それにバレーボールなどに多いという。


そして彼女は...その後の大会でも活躍し、中学でも県選抜に選ばれるまでになった!


彼女は病気の治療のために、医師に処方された鉄剤を飲んでいた。
しかし現在、この鉄剤をめぐりあるニュースが。


学生陸上界で、病気でもないのに成績を上げるために鉄剤注射を行っているチームがある
という問題が取りざたされたのだ。
日本陸連もこれを問題視し、鉄剤注射を原則禁止とする方針を固めた。


専門家によると、鉄剤注射はドーピングに近い問題だという。
貧血を疑うような体調異変が起きたら、まず医師に相談し、適切な鉄分補給を。

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