放送内容

2019年2月19日 ON AIR

ある宗教2世の悩み

信教の自由...しかし、その教えが今の生活に時に合わないこともある。


とある住宅地で家のインターホンを押す母娘。
住人が玄関を開けると、母は役に立つという聖書の言葉を伝えたい、と話しかけた。


もしかしたら様々な人が経験したことのある宗教勧誘のワンシーン。
住人はすぐに「結構です」と断った。


すると、母と一緒にいた娘が...
娘「もしよかったら、パンフレットをお時間のある時に読んでみてください」


と、住人にパンフレットを渡し、その家を去った。
上手にパンフレットを渡せたと娘をほめる母。


娘の名前は、いしいさやさん。
彼女の母親はある教えを信じている。


20年後、彼女は漫画を描いた...「よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話」。


幼い頃からさやさんは、ある教えの中で育った。


専業主婦だった母親は、さやが幼稚園の時に近所のママ友に誘われてある宗教に入信。


それ以来、さやを連れ聖書を勉強する集会に週3回通い、
土曜日になると「奉仕」と呼ばれる布教活動をするようになった。


少女を苦しめた宗教の「制約」


母親に連れられ布教活動をする日々。
父親は信者ではなかったが、反対もしていなかった。


その宗教には日常生活の中で、やってはいけない事が多くあった。
その1つが、クリスマス。クリスマスは異教のお祝いとされ、
彼女の元にサンタがやってくることはなかった。


他にもマンガやアニメ、テレビやゲームなど娯楽のほとんどは
聖書の勉強がおろそかになるため原則禁止。


さやの楽しみは本を読むことくらいだったが、内容は母親のチェックが必要。
子ども向けでも、魔法やファンタジーは邪悪とされていた。


宗教上の制約は学校生活でも、たくさんあった。
例えば運動会の応援合戦。聖書に"争いは避けなければならない"と書いてあるため、参加することができなかった。


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宗教上ダメな事を、みんなの前で行わないことはとても良い事とされていた。
他にも、校歌や国歌を歌うことは偶像崇拝にあたるため参加してはいけない、
という決まりもあった。


クラス委員長を決める選挙も、政治的中立という教えがあったため参加できなかった。
さらに...信者でない人は、「世の人」「世の子」と呼ばれ、必要以上に仲良くすべきではない
と言われていた。


次第に彼女は人と関わることをやめ、できるだけ目立たないように
学校生活をおくるようになっていった。


そんな生活で唯一の救いだったのが...母方の祖父だった。
祖父は、母親の宗教活動に反対していた。


そして、集会がある日にわざとやってきて、遊びに連れ出し...
母親の教育方針でなかなか食べられないファストフードやお菓子を食べさせてくれた。


しかし、さやが中学生のとき、祖父はガンで亡くなった。
冠婚葬祭のスタイルも違っていたので母親はお焼香もすることはなかった。


高校生になった彼女は、人がほとんどいない図書館でばかり過ごすようになった。
そんな図書館である男子生徒と出会った。


お互い本好きというとこから意気投合。
やがて、その男子生徒から付き合ってほしいと告白された。


しかし、信者でない人と付き合うことはもちろん結婚するまではキスやハグも禁止だった。
さらに母親は彼女が禁止行為を行わないように生活を厳しく管理していた。


つまり、もし付き合ったとしても、遊びに行くことも、メールすることもできない。
だから、さやは彼の告白を断ってしまった。


1冊の本に出会い、行動に出る


そんなある日...彼女は1冊の本に出会った。
それは母親の信じる宗教が出てくるライトノベルだった。


その中に、普通の人から見るとあの集会は異常だと書かれていた。
ついに、自分がおかしいと思ってきたことが、他の人もそう思っていたと知り、
さやは行動に出る。


宗教の集会がある日。
いつものように集会へ向かおうとした母に娘は「行かない」と言った。


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困惑する母に娘はこれまで我慢していたことをぶつけた。
さやは母親を慕い、母に愛されるために従ってきた。
しかし、もうやめた。


それ以来、母親は集会に行かなくても何も言わなくなった。
高校卒業後、彼女は専門学校へ進学。
普通の友人と普通の遊びをするようになった。


しかし、何をしていても...ずっと守ってきた教えを破る事への罪悪感が
彼女を苦しめた。


そんな時、
ある本で「心の中の思いをすべて書き出すと楽になる」というアドバイスを見つけた。


最初は、当時のことを思い出しながら文字を書いていたが、
絵が得意だった彼女は徐々に漫画形式で書くようになった。


そして、Twitterに描いた漫画を投稿すると...
しばらくして... なんとそれが3万5千リツイートと大きな共感を呼んだ。


彼女は家族とは、今も良好な関係だという。
信教の自由...しかし、幼い子どもに強要すると、苦しみを生むこともある。

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