ウィーン ベルクガッセ19番地。 近くにドナウ川が流れる、この閑静なアパートの2階は 心理学者・フロイトが診療所を開いていた場所です。 1891年、35歳のとき、家族と一緒に、ここへ引っ越してきました。 |
子供と散歩するのが大好きで、あちこち歩き回ったフロイト。 実は、忘れっぽくてひどい方向音痴。 帰り道がわからなくなって子供に助けてもらう、そんなこともしょっちゅうでした。 |
その反面、仕事は几帳面。 彼の一日は、散髪屋さんに濃いヒゲを整えてもらうことから始まります。 |
診察を始めるのは朝の8時。 患者1人あたりの時間は55分と決まっていて、5分の休憩の後、次の患者へ。 訪ねてくる人を決して拒んだりしなかったので、いつも大忙しです。 |
カウンセリングをしていたフロイトは気づきます。 「忘れたいから、忘れるのだ」 |
忘れた筈の記憶は「隠された記憶」となって 眠っている間に見る「夢」としてあらわれる。 『夢判断』は、こうして生まれました。 |
お酒を飲んでフラフラすることを嫌い 1日に20本は葉巻を吸っていたフロイト。 |
彼は、いつも自分の意識をはっきりさせていたかったといいます。 |
「夢」という無意識の世界を見詰めていたこの家で。 |
次回(12月12日)の『心に残る家』は 相田みつを 『にんげんだもの』を書き上げた家 をお送りします。お楽しみに。 |