三浦 綾子  『「氷点」を書いた家』

(2003/2/12放送)


   
雪深い冬の北海道、塩狩峠。
凍るような空に凛と建つ、白い家は、三浦綾子が、小説「氷点」を書いた家です。


   
   
彼女がこの住まいの玄関先に、雑貨屋を開いたのは、三十九歳のとき。
死と隣り合わせの病いから奇跡的に回復し、最愛の人との結婚に恵まれた、二年後のことでした。


   
   
パン、卵、石鹸、鉛筆。
日常の細々としたものを店先に並べながら、生きる喜びを実感する、綾子。


   
まもなく、彼女は小説を書き始めます。

毎晩、一日の終わりに少しずつ。
インクが凍ってしまうような、寒い夜も、今日、この日の命をいとおしむように。


 
 
そして、書き上げた大作「氷点」は、作家・三浦綾子を誕生させ、彼女の新しい明日を、よりいっそう輝かせていくのでした。


   
 
 
「自分の人生は先が見えた、と思ってみんな生きているかもしれない。
でも、『一寸先は光』という言葉もあるんです」


三浦 綾子  『「氷点」を書いた家』

(2003/2/12放送)

今回の放送のBGM♪
 曲  「Your Heart Will Lead You Home」
 唄  Kenny Loggins

次回(2003年2月19日)の『心に残る家』は
ロッキー・マルシアーノ 『ボクサーを目指した家』をお送りします。お楽しみに。