フランス。セーヌ川の河口にある港町・オンフルール。
ここに、エリック サティ、20世紀の音楽界に異彩を放った作曲家の生家があります。
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6歳で母親を亡くし、父親はパリに単身赴任。
祖父母は、まだ赤ん坊の弟や妹にかかりっきりで、誰にも甘えることができなかった少年時代。彼はいつも、孤独と戦っていました。
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ほんとうは寂しいのに、「寂しい」と言葉にすることが、できなくて。
ひとりピアノに向かい、行き場のない気持ちを鍵盤にぶつけるサティ。
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「凍てつく孤独だけで、頭がカラッポになり、心は悲しみであふれるんだ」
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やがてパリの音楽学校に入り、五線紙に音符をのせるすべを知った彼は思います。自分には、もうひとつの言葉がある。
そして夏休みに帰省したとき、初めての曲「アレグロ」をつくるのです。
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明るい曲調だけれど、どこか切ない響きをもつその曲は、彼の心の叫び、そのものだったのでしょう。
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サティ、18歳。
少年の日の孤独に終止符を打った、夏の終わりのことでした。
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今回の放送のBGM♪
「アンダンテ」「アレグロ」エリック サティ
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次回(2003年6月4日)の『心に残る家』は
瀧 廉太郎
『音楽の楽しさを知った家』をお送りします。 お楽しみに。
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