今週の放送内容

養源院(ようげんいん)
4月7日放送

1594年、豊臣秀吉の側室・淀殿が父・浅井長政の追善の為、長政の従弟で叡山の僧だった成伯法印を開山として建立し、長政の院号を寺号とした。程なく火災にあい1621年に淀殿の妹で徳川二代将軍秀忠の夫人・崇源院によって再建された。以来、徳川家の菩提寺となり歴代将軍の位牌が祀られているが、淀殿とその子・豊臣秀頼の位牌も安置されている。伏見城の遺構の血天井と俵屋宗達の絵が名高いが、他にも狩野山楽の襖絵や小堀遠州作庭の池泉庭園があり、桜の名所としても知られている。

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今週は養源院を訪ねます。


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東山に佇む養源院。 境内の桜が、春の風に舞っています。

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養源院は秀吉の側室・淀殿が建立し、
その妹・徳川秀忠夫人の崇源院(すうげんいん)により
再建されました。


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伏見城から移した本堂の天井には
自害した徳川家の家臣たちの血の跡が、今も残ります。

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本堂を飾るのは、自害した武士を慰めるために
俵屋宗達が描いた二十面もの杉戸絵(すぎどえ)と襖絵。


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大胆で奇抜な白象や唐獅子は「風神・雷神図」と並び賞される
宗達の傑作です。


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四百年も前に描かれたとは思えないほど
現代にも通じる斬新な感覚に溢れています。


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暗い本堂と眩しいほどの庭の桜。光と影。

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それは戦国の世に翻弄され、姉妹でありながら
敵と味方に別れた淀殿と崇源院を思わせます。


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寄り添うような二本の紅枝垂れが
二人の姉妹に重なる春の養源院です。


養源院には樹齢二百年を越す山桜と紅枝垂れ桜があり、どちらかは咲いているはずと思っていたら、撮影日、山桜は五割がた散っていて枝垂れはまだ蕾。桜の谷間にはまってしまったようです。綺麗な桜の花が撮影出来ず、残念でなりません。
ところで、養源院の建物の内部は殆どの窓が閉められていて、初めて訪れた時はとても暗くてびっくりしました。宗達の唐獅子図は特に暗い場所にあり、これではよく鑑賞出来ないのではと思えるほどです。ところが拝観の人が絵の前に来ると、お寺の係の方が小さな電球を点けて説明をしてくれます。お客さんはそれでも見づらいので、ついつい集中して覗き込んでいました。暗闇に浮かぶ唐獅子もなかなかの雰囲気で、窓を閉めているのは、ひょっとしたら絵をじっくりと鑑賞してもらうための、お寺側の演出なのかもしれません…(確認はしていませんが、絵が傷むのを避けるために光を当てないのかもしれません)


「Asial」
作曲・演奏者:松本 晃彦