今週は養源院を訪ねます。
東山に佇む養源院。 境内の桜が、春の風に舞っています。
養源院は秀吉の側室・淀殿が建立し、
その妹・徳川秀忠夫人の崇源院(すうげんいん)により
再建されました。
伏見城から移した本堂の天井には
自害した徳川家の家臣たちの血の跡が、今も残ります。
本堂を飾るのは、自害した武士を慰めるために
俵屋宗達が描いた二十面もの杉戸絵(すぎどえ)と襖絵。
大胆で奇抜な白象や唐獅子は「風神・雷神図」と並び賞される
宗達の傑作です。
四百年も前に描かれたとは思えないほど
現代にも通じる斬新な感覚に溢れています。
暗い本堂と眩しいほどの庭の桜。光と影。
それは戦国の世に翻弄され、姉妹でありながら
敵と味方に別れた淀殿と崇源院を思わせます。
寄り添うような二本の紅枝垂れが
二人の姉妹に重なる春の養源院です。