07/07/02 OA
消えた8億円 笑顔の大泥棒
1989年。
カナダ・トロントにあるピアソン空港の"貨物ターミナル"において、
カメラや、電化製品、高級ブランドの洋服からスポーツ用品まで、
様々な品物が盗み出される事件が発生した!
被害総額は"約8億6千万円"!
しかも警察は、その後13年間も犯人を特定する事が出来なかった!
一体、犯人はどのような方法で、この驚くべき窃盗を行ったのだろうか?
空港は、24時間態勢で監視が行われ、施設内に立ち入るには、
身分証明書を提示しなければならず、簡単に品物を盗み出せる場所では無かった。
そこで警察は、空港の貨物ターミナル内部に『巨大な窃盗組織』が存在し、
『出入りする品物の内容』や『警備の状況』など、
多くの人間が様々な事を調べ上げ、犯行を行っているのでは無いか?と
考えたのである。
ところが、犯行を仕組んでいたのは"たった一人のトラック運転手"だった!
名前は『ホー・ラム・オング』。
実はこの男、『スマイリー』と言うあだ名がつけられる程、
いつも笑顔を絶やさず、人当たりの良い人間だったのだが、
何と、その『笑顔を武器』に窃盗を行っていたのである。
まず、『スマイリー』は、多くの空港関係者に"笑顔で話しかけ"酒場などへ誘う。
そして、相手が気を許すような親しい友達になるのである。
そうしておいて、友達になった空港関係者に、こっそりと『商品の横流し』を頼み、
少しずつ品物を手に入れたのだ。
もちろん、友達への"お礼"も決して忘れず、その場で現金を渡したので、
友達への信頼も深まり、この『窃盗計画』は大成功!
更に、この計画には妻のトュリッサと、息子のベニーも協力。
空港に努める妻トュリッサが、貨物に関する情報を探り出し、
息子がインターネットを使って、盗んだ商品を売りさばいていたのだ。
こうして『スマイリー』は、友人と家族による『大窃盗組織』を作り上げ、
多くの品物と金を手に入れる事が出来たのである。
そのうえ、『スマイリー』は、いくら大金を手にしても、
派手に金を使うようなことはしなかった上に、友人関係も上手く続けていたため、
この犯行は、実に13年間も窃盗は続けられたのだ。
ところが、2001年。
思わぬ所から『スマイリー』の名前が警察に知られる事に・・・
ある電気部品の販売会社に泥棒が入り、"パソコンの部品"が盗まれた。
警察が、盗まれた商品の製造番号を調べると、
元々、ピアソン空港から盗まれたものと判明。
そこで警察は、盗まれた商品の"仕入れ先"を調査。すると・・・
『スマイリー』の息子ベニーが売ったものであると、判明したのである。
警察は息子ベニーを尾行し、盗品が隠された倉庫を発見!
その場で、ベニーを逮捕した。
更に、ベニーの自供を受け、
自宅にいた『スマイリー』と妻のトュリッサも次々と逮捕したのである。
逮捕された時、『スマイリー』の家の中には、山のような盗品と、
約1億8千万円もの現金が隠されたと言う。
こうして『スマイリー』こと、『ホー・ラム・オング』の、
"13年にも及ぶ窃盗事件"は終わりを迎えた。
そして彼は、妻と息子の"保釈"を条件に、全ての犯罪を認めたのだが、
空港の施設内にいるハズの共犯者である"友達"については一切語らず、
全ての罪をたった一人で引き受けたのである。