世界まる見え!テレビ特捜部
09/05/25 OA
インド大混乱!知られざるサルウシ合戦

近年、急速な発展を遂げるインドの首都・ニューデリーには、
ある深刻な問題が発生していた。
それは街の野生動物。
東京都とほぼ同じ面積の都市に、サルが2万匹、
牛にいたっては4万頭が住みつき、傍若無人な行動を繰り返している。
例えば、人のいない民家に侵入して、
中にある食べ物を手当たり次第に食い荒らすサルや、
突然、車の前に立ちはだかり大渋滞を引き起こすウシ。
さらには、街の副市長がサルに襲われ、
あやまって自宅のベランダから転落死する事件まで発生してしまった。
こんなにも深刻な社会問題となっているにも関わらず、
そんな動物たちを退治しようとする人が誰ひとりいないのは、一体なぜなのか?
それには、宗教上の理由が深く関係していた。
インドの人々が信仰しているヒンズー教では、
サルやウシといった動物は"神の化身"として古くから崇拝され、
人々は、彼らを大切に扱ってきたのである。
そして、増え続けるサルの中でも、人々を悩ませているのが、
知能が高く、集団で行動をとる≪アカゲザル≫。
住民の留守をかぎつけると、どこからともなく進入して家の中を荒したり、
小学校の教室に進入して子どもの腕に噛みついたりとやりたい放題。



だが、そんな中で、思わぬ臨時収入をあげているのが、猿回しの≪グル・カン≫。
父親の代からサルまわしをしている彼は、
サルの被害にはサルをもって制すのが一番と、
アカゲザルの天敵〈ヤセザル〉をトレーニングし、
アカゲザル退治に一役かっている。
彼が月に稼ぎ出す収入は、
インドの平均月収より若干低い、1か月およそ15000円になると言う。



しかし、この街にトラブルをまき起こす野生動物は、サルだけではない。
サル同様、神聖な生き物として増加し続けているのは、
およそ4万頭の野良犬ならぬ野良ウシ。
街にあふれるウシたちのせいで、車は自由に走ることもできず渋滞を起こす。
さらに、そのウシたちから勝手にミルクを採り、販売する
「ミルクマフィア」と呼ばれる悪党も登場。



そんなウシたちを確保するため、政府から協力を要請されたのが、カウボーイ。
縄を投げて、ウシに引っかけるという原始的な方法だが
これが神聖なウシをキズつけない、一番いい方法なのだという。
今日もニューデリーの街に我が物顔でのさばる神様たち。
それでも、住民にとっては偉大でかけがえのない存在なのだ。



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