世界まる見え!テレビ特捜部
11/06/27 OA
アフリカゾウから村を守る救世主 マル秘プロジェクト

<アフリカ・セレンゲティ国立公園>。1989年に象牙の国際取引が禁止されて以来、
アフリカゾウの数が増加。そして畑の農作物の味を覚えてしまったゾウたちが、頻繁
に村にやってくるようになった。しかし、タンザニアではアフリカゾウを保護動物と
して指定しているため、政府の許可なしに捕獲したり、射殺することはできない。
そんな問題を解決すべく立ち上がったのが、
生物学者の「アリー・ムクワービー博士」。彼はゾウ被害にあった村を訪れ、
被害状況を調査し、できるだけ費用のかからないゾウ撃退法を導きだした。
そのアイテムは、『トウガラシ』。ゾウの口の奥には、非常に優れた嗅覚受容器が
あり、その感度は人間の鼻の数倍だといわれている。
つまり鼻を突くトウガラシの臭いを嗅がせて、ゾウの嗅覚を刺激し退散させようとい
うのだ。しかし、ここタンザニアでは、料理であまりトウガラシを使わない。
そのため、アリー博士はトウガラシを販売している店を探しまわり、トウガラシを
見つけしだい大量に買いあさった。その姿から、博士についたあだ名は、
『Mr.ピリピリ』 。ピリピリとは、スワヒリ語でトウガラシを意味する言葉。
Mr.ピリピリは大量に集めたトウガラシを細かくすりつぶし、粉末にすると、
それを使用済みの自動車オイルに入れ、よく混ぜ合わせた。
こうすることでトウガラシの成分が飛びにくくなり、ニオイが長持ちするという。
そして液体となったトウガラシを、ワイヤーや布切れに浸すと柵にくくりつけていく。
これで 『トウガラシフェンス』 の完成。

すると、フェンスの前まできたゾウが逃げていくではないか。ところが・・・
数日後、夕暮れ時の村の畑にゾウの群れが現れた。
トウガラシフェンスが待ち受けるが、なんとゾウたちはフェンスを嫌がることなく、
破壊して畑に入り込んできた。
前日に降った大雨で、ニオイが洗い流されてしまったのが、原因だった。
雨が降れば、トウガラシを塗り直せばいいのだが、この地域で、これ以上、
材料となる自動車オイルを探すことは困難だった。そこで、材料に困らず、
すぐに実践可能な他の方法を考えることになった博士。
ひらめいたのは・・・ゾウの糞を使うこと。ゾウの糞は、ほとんどが草。
そんな糞にトウガラシの粉末を混ぜて燃やせば、その煙でゾウが撃退できるのではと
考えたのだ。名付けて 『トウガラシスモーク』。さっそくゾウの糞に火をつけると、
トウガラシの煙でゾウが退散したのだ。
村を守る有効な手段となりそうなトウガラシスモーク。現在、Mr.ピリピリは、
公園近くの村でトウガラシの自家栽培に精を出しているという。
地球の財産である野生動物を、被害を被ったからと攻撃するのではなく、
共存できる世界を作ることを願って…。

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