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なぜユリは百合と書く
#593 (2001/08/05)
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この季節、花屋さんの店頭を彩る花がユリ。実はユリは夏の花だったのです。そしてユリは日本に15種も自生している、とても日本にゆかりのある花。世界中に広まったのも、幕末にオランダのシーボルトが日本から持ち帰ったからなのです。しかし見れば見るほど変わっているユリ。巨大な花に、大きな花粉。いったいなぜこんなに変わっているのでしょう。
“谷間のユリ”フランスの文豪バルザックの作品名でもありますが、矢野さんは本当に谷間にユリが咲いているのか探しに行きました。すると、谷底というよりは谷の斜面でしたが、確かにユリは谷間に咲いていました。ユリは過度の日光と水分に弱いので、あまり日が当たらず、かつ水はけもいい斜面に咲くのでした。
不安定な所に咲いているユリ。花も大きいし、倒れないのでしょうか?そこで矢野さんはユリの根を掘ってみました。すると、俗にユリネといわれる球根の上と下に二重に根が生えていたのです。これで重い体をがちっと支えていたのでした。
ユリの花は大きいのも特徴。代表的なヤマユリの花の大きさも、差し渡し22センチも有りました。いったいこんな花にどんな生物が蜜を採りに来るのでしょう?矢野さんがユリの花の前で1日待つと、なんと現れたのはアゲハチョウ。そう、この大きさはアゲハチョウにはぴったりだったのです。
ユリの花もアゲハのためにいろいろ工夫をしていました。ヤマユリの花に見られる赤い斑点、蜜標。アゲハは赤色が好きなので、この色に寄って来て、さらにはこの斑点によって密のありかも知るのでした。そしてヤマユリの蜜は大変甘く、糖度60%とガムシロップ並みの甘さ。これもアゲハには好都合だったのです。
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ユリの花粉の強い粘着力は、アゲハの羽のりん粉に花粉をしっかり付けて運んでもらうためだった!
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ユリは夜匂いが強くなります。いったいなぜでしょう?矢野さんが引き続き花の前で観察です。すると、匂いにつられて現れたのは、スズメガという巨大な蛾。ユリは昼のアゲハだけでは物足りなく。夜はスズメガを呼んで受粉させていたのです。
ユリは漢字で“百合”と書きます。いったいなぜこんな文字を当てるのでしょう?その秘密は、食品としてもおなじみ、ユリの球根“ユリネ” に有りました。なんとこのユリネ、1枚1枚むけるのです。これをりん片と言うのですが、その数がおおよそ100!これが“百合”の由来でした。
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ユリネはイノシシの大好物。食べられてもりん片1枚で発芽出来るから、ユリは生き残っていくのだ!
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