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インフルエンザの秘密
第1164回 2013年2月9日


 1年で最も寒いこの時期。
 現在、風邪やインフルエンザにかかる人の数がピークを迎えています。  でも、なんで冬になると、風邪やインフルエンザになる人が増えるのでしょう?今回の目がテンは、風邪がうつるメカニズムを徹底調査!

  ①「夏のくしゃみ」と「冬のくしゃみ」で違いはある?
  ②くしゃみを手でおさえるとどのくらい防げる?
  ③手洗いの効果とは?

①「夏のくしゃみ」と「冬のくしゃみ」で違いはある?
 冬場のくしゃみは、特に風邪がうつりやすいと思い、気になるようですが、もちろん夏でもくしゃみは出ます。
 そこで今回、人間とほぼ同じ強さのくしゃみが出るマシンを使って、「夏のくしゃみ」と「冬のくしゃみ」の違いを実験。

 まずは夏の場合。大学の人工気候室で、夏の気候(気温28℃・湿度80%)に設定し、測定してみると・・・ 結果は「1m57cm」。

 続いて冬の場合。2月と同じ気温10℃、湿度30%に設定し、先ほどと同じ強さのくしゃみを噴射すると・・・ 結果は「2m22cm」。
 夏と冬、繰り返し合計5回くしゃみをして飛距離を測定した結果、なんと夏と冬で、最大で「83cm」も差が出たんです。

 専門家に伺うと「冬の気候は気温が低く同時に乾燥しているため、くしゃみや咳をして飛沫が飛び散った時、重い粒子は下に落ちる。ただし周りが乾燥しているとそのしぶきが蒸発して軽くなるため、あまり下に落ちずに長く漂う傾向があるので遠くまで飛ぶ」とコメント。

 つまり、くしゃみの粒は冬の方が夏より軽くなるため、遠くまで飛んだのです。

②くしゃみを手で押さえるとどのくらい防げる?
 「くしゃみの飛距離はわかったけど、手で押さえれば大丈夫でしょ?」
 そこで、くしゃみを手で押さえるとどれだけ効果があるのか、実験で確かめてみました。

 実験室に家庭の食卓を再現。正面には、ホコリが出ない特殊服に身を包んだお父さん役の男性が座り、手で口をふさいだままくしゃみをすると・・・。
 なんと、飛沫が手から漏れて家族の方へ!

 さらに、くしゃみの飛沫のその後を観察してみると、30秒もたったのに、母親と子供の周りに粒が漂っています。
 漂っていた粒の正体とは、しぶきの周りの水分が蒸発した、「飛沫核」というきわめて小さな粒子。
 なんとこの粒の中にウイルスが入っている可能性があり、それを吸い込む事で、空気感染する恐れがあるというのです。
 くしゃみの飛沫は、空気中に放たれると、わずか0.1秒で蒸発し始め飛沫核になります。 その後、空気中に広がり浮遊し続けます。
 つまり、手で押さえてもうつってしまうことがあるんです。

 では、この飛沫核はくしゃみをしてからどのくらいの間、空中をただよっているのか、飛沫核の数を計測できる装置で数えてみたところ・・・ くしゃみ1回の飛沫核の数はなんと「6万8262個」!!

 さらに、その後1時間ごとに計測したところ、6時間後も約半分の飛沫核が残り続けたんです!!

 では、くしゃみをした後の飛沫核がなくなる方法を専門家に伺うと、「湿った環境であれば飛沫核が落ちやすく舞い上がりにくい。
 極端な話、下が水面であれば舞い上がる事はない」という。

 さすがに、家に水を張ることはできませんが、霧吹きで水を吹いたり、加湿器で湿度を上げるだけでも効果はあるそうです。
 でも一番大切なのは、やっぱりこまめに換気すること。

③手洗いの効果とは?
 「飛沫感染」「空気感染」の他にもう一つ挙げられる感染ルート、それが「接触感染」。
 これは、ウイルスを持っている人が、ドアノブや手すりなどを触った後、そのドアノブを別の人が触り、その手で口や鼻、目などを触る事によって粘膜からウイルスに感染して風邪をひいてしまうという感染ルートなんです。そして、その予防のひとつが「手洗い」。

 では、手洗いは風邪の予防にどれだけ効果があるのか、4人暮らしの家族で実験。まず、ブラックライトをかざすと光る特殊な塗料をウイルスに見立て、玄関のドアノブに塗ります。

 その後、1人ずつ玄関から部屋に入ってもらい、手を洗わないで2時間過ごすと、手についた塗料(ウイルス)はどのくらい広がっているのか見てみると、家族みんな、顔中ウイルスでいっぱい!
 手を洗わないと、知らないうちに顔の粘膜をウイルスに感染する危険性があったのです。

 次に、別の家族に協力してもらい、同じケースで、今度は「手を洗ってから」部屋に入ってもらい、その効果を見てみると、しっかり手を洗ったにもかかわらず、関節や指の間にウイルスが・・・。
 実験に協力してもらった家族の手の洗い方を、専門家に見てもらうと、「ちゃんと洗ったつもりでも洗い残しがある。1回洗ってもキレイになったと思わないことが大事」。

 そこで、専門家に「正しい手の洗い方」を教えてもらいました。
  ①水で濡らして石鹸をつけた後、泡立たせるため、手のひらでこする
  ②手の甲、そして指の間をしっかりと洗う
  ③爪の汚れをしっかり落とし、指を1本1本洗い、最後に手首を洗う
  ④水で流し、紙で手を拭いた後、ウイルスが付かないようその紙で蛇口を閉める

 「でも、毎日ここまでやるのはちょっと大変・・・」という人のために有効なのが「アルコール消毒液」。しかし、なぜアルコールが菌を落とすのでしょうか?専門家に伺うと「アルコールは、タンパク質や脂質に作用して変成させ、結果、ウイルスが死滅する」のだとか。
 ウイルスの表面には脂質性の膜があり、アルコールを付けるとこの膜が破壊され、ウイルスが死滅するんです。

 じゃあ、アルコールさえ使えば手を洗わなくていいんだと思ったら大間違い!ノロウイルスやライノウイルスは、アルコールで破壊される脂質性の膜を持っていないため効果が低いんです。
 やはり、まずは基本中の基本「手を洗う」ことが大切なんです。



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