"あなたが知らない本当のミュシャ"
「ミュシャ展」第2弾は、より革新的な内容に。
2度目の開催にふさわしく、展覧会構成も一新。
"あなたが知らない本当のミュシャ"をキーワードに、画業の紹介にとどまらず、画家本人の知られざる思想・想いに光をあてます。「作品は見たことあるけど、ミュシャってどんな人だったの?」という疑問に答える、新しい視点の展覧会です。
世界的に見ても、ミュシャファンが多いといわれている日本。ミュシャをよく知る人も、初めて作品に出会う人も、必ず新しい発見がある-。
更に進化したミュシャ展にどうぞご期待ください。
他の追随を許さない、伝統あるコレクション
ミュシャ財団とは-
ミュシャ財団はアルフォンス・ミュシャの芸術的財産、知的財産などの管理を主な目的として、1992年8月アルフォンス・ミュシャの令孫のジョン・ミュシャ氏により設立、ロンドンを拠点に活動しています。
作品の保護、修復、研究、収集、展覧会の企画、開催、出版などを通して、世界中にミュシャを紹介し、その魅力を広めています。
世界でも稀少な"シルクサテンに印刷された《四芸術》シリーズ"を日本初公開!
ミュシャの連作として人気の高い《四芸術》シリーズ(1899年)。「ダンス」「絵画」「詩」「音楽」の4枚から構成されるサテン・エディションを日本初公開します。紙でなくシルクサテンに刷ることで、まるで「浮世絵」のような独特の色みが表現でき、当時の印刷技術の高さがうかがえる作品。尚、本展には《四芸術》シリーズの下絵も出品されるので、シルクサテンに印刷されたその繊細な印刷表現をはじめ、ミュシャが本作品を構想した過程も同時に観ることができる貴重な機会となります。
「1点もの」の油彩作品も充実したラインナップ
ミュシャといえば、本展にも出品されている《四季》、《宝石》、《四芸術》シリーズなど、花、宝石など様々なモチーフを、女性の姿を用いて表現した4枚のリトグラフによる連作が有名です。一方でパリ時代には、ボナールやドニといったのちのナビ派と呼ばれる画家たちも学んだアカデミー・ジュリアンという画塾でアカデミックな油彩の技法を学んでおり、晩年に故郷チェコで制作した連作《スラヴ叙事詩》をはじめとした油彩画でも優れた作品を多く残しています。本展では、ミュシャの作品としてはまだ知られていない、およそ30点もの油彩画を展示。油彩画家としても優れていた"あなたが知らない本当のミュシャ"を余すところなくご紹介します。
必見!ミュシャが生み出したプロダクト
ミュシャは本の挿絵/装飾品/商品パッケージ/舞台衣装やセットのデザイン/写真などを残した多才な作家でありました。
本展では、ビスケットメーカーであるルフェーヴル・ユティル社のためにミュシャがデザインした、鮮やかな色づかいが特徴的なゴーフル/ビスケットの商品パッケージなども多数展示。そのほか、1890年代に製造された当時の中身が入ったスプレー式香水〈ロド〉の香水瓶5本セットは、本邦初公開となります。
絵画作品だけでなく、立体的なプロダクトも多く取り入れた展示により、ミュシャの才能の奥深さを知ることができるでしょう。
ポスターヒットの秘訣は「美女」?
ミュシャが生み出したコマーシャル・アートとは
ミュシャがポスターデザインで成功した事はよく知られています。その成功の鍵は発想の転換でした。
当時、例えば"自転車のポスター"といえば、ポスターの中心はあくまで"自転車"。ところが、ミュシャのポスターは、まず"美女"が画面いっぱいに広がり、よく見るとその美女が自転車に乗っているという、「美女のイメージ=商品イメージ」として、消費者に訴えていく手法を用いたのです。
今でこそ、化粧品・車などあらゆるものにイメージキャラクターを用いる時代ですが、当時この手法は大変新しく、それがミュシャの名声に繋がっていった要因の一つといわれています。
写真から知る、ミュシャの意外な友人
意外な組み合わせのように思えますが、ミュシャはパリ時代、ポスト印象派の画家ポール・ゴーギャンと親しくしていました。
グランド・ショミエール通りにあったマダム・シャルロットの簡易食堂は、当時若い画家たちのたまり場でした。そこでミュシャはゴーギャンと出会い、意気投合します。あの有名なゴッホの「耳切り事件」から数年後、ゴーギャンはタヒチへと旅立ちますが、その後パリへ帰国。彼の展覧会の準備のために、ミュシャは自分のアトリエを提供しました。
この頃ミュシャはカメラを購入しており、ゴーギャンを撮影した写真や、共に映っている写真が残っています。写真はミュシャのアトリエでオルガンを弾くゴーギャン。よく見ると、ズボンを履いていないというユーモラスな一場面で、ふたりの親交の深さをうかがうことができます。
単なるポートレイト写真だけでなく、作品制作のためステージセットのように、あるいはドキュメンタリーのようにモデルを撮影したものも数多く残されています。作品と共にこれらの写真をみることができるのも、本展の魅力の一つです。