日本テレビがテーマに込めた想い

今年の放送にあたって

「24時間テレビ47」総合プロデューサー 吉無田 剛

『今年、24時間テレビを放送して良いのだろうか?』…昨年の放送が終了し、翌年の準備を始めた矢先のことでした。「募金の着服」という不正行為が発覚。多くの方の善意で成り立っている根幹が揺らぐ事態に、番組制作は数ヶ月の間、ストップしました。
正直、まだ多くの方の理解を戴けているとは思っていません。一度、揺らいでしまった信頼はすぐには取り戻すことはできないと感じています。ただ一方で、これまで番組に携わってきた多くの出演者・スタッフが、心からの善意で、全力でチャリティーに取り組んできたことも事実で、支援を待っている方が全国にいることも事実です。これまで続けてきたチャリティー自体を否定したくはないですし、続けることでしか信頼を回復することはできない…。そんな思いで、今、ようやくスタートラインに立つことができました。

本日発表となったチャリTシャツのデザイン。
手がけて下さったのは、スタジオジブリ宮崎吾朗監督。
「愛は地球を救うのか?」…この問いを今年のテーマに決めた日から、チャリTシャツのデザインについて悩み続けました。今年のテーマをデザイン化することはとても難しいことでした。

悩んだ末、スタジオジブリに相談することにしました。スタジオジブリは、時代が抱える問題を繊細に感じながら、作品を作り続けてきたアニメーションスタジオであり、日本テレビの大切なパートナーです。スタジオジブリなら、このテーマを絵にしてもらうことができるかもしれない――そう考え、鈴木敏夫プロデューサーに相談しました。
鈴木プロデューサーの答えは「愛だけじゃ地球を救えないんじゃない?」というものでした。
そして、こう続けてくださいました。「難しいテーマだけど、宮崎吾朗君なら、相談に乗ってくれるかもしれない」。

その助言をもとに私たちは、宮崎吾朗監督を訪ねました。
番組が置かれている厳しい状況、そして抱えている悩みを正面から伝えました。
それを聞いた吾朗さんの最初の反応は、決してポジティブではありませんでした。
「このテーマを絵にすることは難しい…」と率直に言われました。

それでも吾朗さんは、会話を続けてくださいました。今の時代に感じていること、テレビというものに感じていること…。そうして会話は、吾朗さんが「やります」と明言のないまま、終わりました。

その日の夜、私たちに一枚の絵が届きました。
そこに描かれていたのは、一匹の犬。そして「Will Love Save the Earth?」という文字と、犬が発する「I have no idea.」「What do you think?」という言葉。
24時間テレビの原点である〝地球〟のアイコンも描かれていました。
ユーモラスで、皮肉も込められているけど、見た人が笑顔になる…私たちの思いが絵になっていました。24時間テレビが、改めて一つ一つのことに取り組んでいくんだという、最初の一歩がこのチャリTシャツのデザインです。全国の皆さんに気に入っていだたければ嬉しいです。

今年の番組テーマ

1978年に第1回が始まった24時間テレビ「愛は地球を救う」。
長きにわたり、チャリティー募金を呼び掛けてきました。多くの方々の善意に支えられ、集まった寄付金は、46年間で総額433億64万3146円。24時間テレビを放送する全国31社の放送事業者で組織される公益社団法人「24時間テレビチャリティー委員会」を通して、国内外の被災地へ迅速な災害復興支援、全国各地からの要望に応える福祉車両の贈呈、全国食支援活動協力会と共に子ども食堂の支援など、その他、多岐にわたるチャリティー活動を長年続けてくることができました。

そんな中、昨年11月、公益社団法人「24時間テレビチャリティー委員会」の1社で寄付金の着服が発覚しました。寄付をしてくださった方々、チャリティー事業に関わってくださった方々、並びに視聴者の皆様の信頼を裏切ることとなり、改めて心よりお詫び申し上げます。
お預かりした大切な寄付金を、支援を必要とする方々に責任をもって届け続けるため、再発防止策を講じ、安心・安全な募金活動の実現をお約束すると共に、真摯にチャリティーと向き合い、信頼回復に努めて参ります。

今年のテーマは…「愛は地球を救うのか?」

24時間テレビ「愛は地球を救う」という番組タイトルは1978年の第1回から昨年の第46回まで、変わることなく使われてきました。約半世紀の間、続いてきた番組タイトルの意味、
そして、チャリティーの本質を見つめ直す〝決意〟をテーマに込めました。

今年1月に起きた能登半島地震のような大きな自然災害は、いつどこで発生するか分かりません。少子高齢化の中、社会的弱者や障がい者への福祉支援は、いっそう重要度を増しています。環境問題や子どもの貧困といった昨今の社会問題とも向き合い、持続可能で未来志向型のチャリティーも大切となっています。

今、チャリティー番組、24時間テレビの果たすべき役割は?

自らの活動、番組の在り方を問い直す、
そんな新しい24時間テレビ〝元年〟にします。