STORY

2024.02.11 OA
自分をあきらめないで

ありす(門脇麦)の店に、蒔子(木村多江)が突然やって来た。緊張するありすだが、心護(大森南朋)は蒔子をすぐに追い返そうとする。ありすは倖生(永瀬廉)に、かつて見た心護と蒔子の様子をこっそり打ち明ける。「お母さんは、お金を払って私を捨てたんだと思います」。

翌日、ありすの店に和紗(前田敦子)が復帰し、無愛想な倖生のイメチェンを提案。賛同したありすのアイデアで倖生は前髪を上げることになり、常連客から大好評。そんな中、最近店に来るようになった明里(金澤美穂)は、どんよりした顔で「消えてしまいたい…」。好意を寄せている会社の先輩・圭介(渡辺大知)を他の子に横取りされそうな状況らしい。助言を求められたありすは、「私には恋愛する資格はありません」…ASDで実の親にも愛されなかった自分には、愛される資格も愛する資格もないと言い張る。そんなありすを見て、倖生はありすを五條製薬に連れて行くことにする。一方、2人の外出をデートだと勘違いした和紗と三ツ沢家の面々は、大騒ぎ。心護を巻き込み、事態は思わぬ方向へ…!!

ついに、ありすの母親とあの火事の夜の出来事が明らかに!!そして倖生も、自分の過去を告白して…!?

以下、ネタバレを含みます。

倖生に連れられ、五條製薬にやってきたありす。2人は、ありすを手放した本当の理由を聞くために蒔子に会おうとするが、アポも取っていないため受付で連絡先を渡すのが精一杯。しかも、そのメモも誠士(萩原聖人)に廃棄されてしまい…。
心護は、金之助(大東駿介)から「倖生くんとありすちゃんが付き合うかも」と聞いて放心状態!一方、百花(大友花恋)は、バレンタインに倖生にチョコを渡そうか迷っていて…。
そんな中、和紗に背中を押された明里は、バレンタイン当日の花火フェスに圭介を誘い、OKをもらう。明里は、おいしいチョコの作り方を教えてほしいとお願いするが、蒔子から連絡もなく落ち込んでいるありすは、断ってしまう…。
ありすに前向きになってほしい倖生は、ひとり五條製薬に向かうが、現れた誠士から「蒔子は会わない。二度と来ないでくれ」とクギを刺されてしまう。和紗から「ありすのこと好きだろ」と指摘される倖生だが、自分は人を好きになってはダメなんだと答える。父が犯罪者で、自分にも逮捕歴があるのだという。5年前、父親が犯罪者というだけで、倖生は職場の同僚から財布泥棒の濡れ衣を着せられた。“犯罪者の息子”として、ずっと白い目で見られ後ろ指をさされ、倖生も自分を諦めていたのだ。だからこそ、せめてありすには自分を諦めないでほしい…。

ありすと倖生が五條製薬に行ったことが、心護の耳に入ってしまった。2人の勝手な行動に憤る心護。ありすは「私は、お母さんに会いたいです。ちゃんとお母さんと話したいです!」と訴えるが、心護は全く聞き入れず、ありすと倖生が付き合っていると思い込み、倖生にもキツく当たる。心が折れたありすは、倖生との交際も、蒔子に会うこともないと言い、全てを諦めてしまう。ありすの気持ちが痛いほど分かる倖生。ありすが褒めて認めて、信頼してくれたから、自分は少し前を向けた。それを思い出した倖生は、ある作戦を決行する。

『ありすのお勝手』に、大きな会社から仕出し弁当の大量注文が入り、ありすはたくさんの弁当を作って、倖生と一緒に発注元の会社に向かう。…が、そこは、五條製薬。実は弁当の発注は、倖生が百花に頼んで手配してもらったことだったのだ。「嫌です。帰ります」と踵を返そうとするありすに、倖生は、「ありすにも、自分のことを諦めてほしくない」。倖生の思いが、ありすに伝わり…。
弁当販売で五條製薬に潜入したありすと倖生は、蒔子と面会を果たすことに成功する。「お母さんは、なんで私を捨てたんでしょうか?」…ありすは持ってきたヘンリーを見せながら、蒔子に問う。すると、蒔子の口からは意外な答えが返ってきた…「私はね、お母さんじゃないの」。
ありすの本当の母親は、蒔子の妹・未知子だったのだ。五條製薬の研究者だった未知子は、ありすのことが大好きで、毎日のようにありすを研究所に連れて来ており、ありすは心護たち研究仲間たちにも大切にされていたという。だが、未知子は亡くなってしまったのだ…。
…と、そこまで聞いたところで、蒔子の父・道隆(北大路欣也)が険しい顔で乗り込んでくる。ありすを「役立たず」と言い、追い返そうとする道隆に立ち向かい、ありすは素晴らしい人だと食い下がる倖生。そこへ、心護が2人を迎えに来る。

「もっと早くに話せばよかったね」…心護はありすに、未知子の死の詳細を初めて打ち明ける。ありすが3歳の頃、研究所で大きな火事があった。火元は実験室。隣の部屋にいた未知子は、気づくのが遅かったのか、逃げ遅れて命を落とした…。その時、未知子と一緒にいたはずのありすは、なぜか1人で廊下に出ていたため、奇跡的に助かったのだという。すると、ありすの脳裏に、火事の記憶がよみがえる――。あの日、燃え盛るオフィスで、棚の下敷きになって動けなくなった未知子は、「ありす!行きなさい!」と必死に叫んだ。しかし、ありすはヘンリーを振り回しながら泣きじゃくるばかりで、動こうとしない…。未知子は、ありすからヘンリーを奪うと、廊下に向かってそれを投げた…!“白ウサギはアリスを素敵な場所へ連れて行く”――そんな想いを託したのだ。ヘンリーを追いかけ廊下に出たことで、ありすは助かったのだ。
「お母さんが、私を助けてくれました」――。

お母さんが私を好きでいてくれた…。それを知れただけで幸せな気持ちのありすは、「私も誰かを好きになって、幸せな気持ちにしたいです」と、倖生を真っすぐ見つめる。「俺も、そうしたいと思ってる」と倖生。その瞬間、窓の外に花火が上がる――。今日は、バレンタインデーだ。

翌日、倖生が大学で清掃のバイトをしていると、百花がチョコを持って近づいてくる。だが、倖生は「この間ありがとう。ありすもすごい喜んでた」。…あの弁当発注がありすのためだったと知った百花は、ショックでチョコを渡すタイミングを失ってしまう…。
チョコを持て余したまま廊下をぼんやり歩く百花は、教室で心護と誠士が2人きりで話しているのを目撃。とっさに身を隠す百花の耳に、心護の声が聞こえてくる。
「あの火事が事故じゃないこと、おまえは分かってるだろ」――。