STORY

2024.03.10 OA
きみも大事な“家族”

「倖生くんのお父さんは、横領なんかしていない…全部濡れ衣なんだ」――心護(大森南朋)の告白に、ありす(門脇麦)と倖生(永瀬廉)は驚き言葉を失う。9年前、五條製薬の研究所の所長だった晃生(竹財輝之助)は横領の罪をなすり付けられ、自ら命を絶ったというのだ。だとしたら、心護が「殺した」と言った意味は?晃生が死を選んだワケは? 全てを知った倖生はショックを受け…。

倖生のことが心配で仕方がないありすは、なんとか励まそうと奮闘。一方の倖生は、和紗(前田敦子)に「元気よく振る舞ってみれば?」と言われて空回り…。すれ違う2人は、初デートに出かけた水族館で、初めてケンカに…!!
そんな中、三ツ沢工務店に、虎之助(三浦綺羅)とクラスメートたちが社会科見学にやって来る。息子の前でいいところを見せたい金之助(大東駿介)は、腕のケガを隠して大張り切り。さらに、小学校の飼育小屋の建設を頼まれ、息子のためならと、1人で造り始めるが…。
一方、蒔子(木村多江)の前には、横領事件の真相を知る人物が現れて…!?

好きな人の支えになりたいのに、空気が読めないし、気も使えない…。そんなありすが見つける答えは…?そして、25年前の火事と横領事件、2つの事件がつながり始める――!!

以下、ネタバレを含みます。

9年前、五條製薬の研究所長だった晃生は、自分の知らない所長名義の隠し口座に研究費を横流しされ、真犯人に“バラせば家族の安全は約束しない”と脅されていた。自分を尊敬し、同じ創薬化学者を夢見る息子・倖生に失望されたくなくて、無実の罪をかぶることができず、かといって真実を明かすこともできず、晃生は死を選んだのだった…。

知らないうちに自分が父を追い込んでいた…父が死んだのは自分のせい…そう考えて落ち込む倖生を、ありすは水族館デートに誘う。クラゲを見たり、イルカを触ろうと誘ったり、無理して元気に振る舞う倖生をなんとかリラックスさせようと一生懸命なありす。しかし倖生は、ありすに心配かけまいと作り笑顔ばかりで…。ありすは「ウソの笑顔は嫌いです。うれしくありません」。すると倖生も「俺の気持ちなんかありすに分かんないだろ!」と大声をあげて、2人の間に気まずい空気が漂ってしまう…。

一方、和紗を見舞う金之助は、腕のケガを和紗に見抜かれてしまう。検査の結果、骨にヒビが入っていたためギプス生活になった金之助に、定一郎(皆川猿時)は「腕が治るまで休んでろよ」と飼育小屋建設をやめるよう忠告するが、金之助は最後まで自分でやると言って聞かない。止める定一郎と、やりたい金之助、2人の押し問答が始まると、話を聞いていた倖生が「なんなんすかそれ」と金之助に食ってかかる。息子のために父親が無理することで、息子がどれだけ傷つくか分かっていない…自分の境遇を重ね、つい熱くなってしまう倖生。金之助は何も言えなくなり…。

翌日、『ありすのお勝手』閉店後、ありす1人になったタイミングを見計らって百花(大友花恋)が店にやって来る。「ありすさん、ごめんなさい!」…以前、お弁当を持って来てくれた時の暴言を謝罪する百花。ありすは、百花は正しかったと言う。自分は空気も読めないし、気も使えない…「私は倖生さんにふさわしくないかもしれません」。後ろ向きな発言をするありすを、「バカじゃないの?」と一蹴する百花。自分は空気も読めるし、気も使える。でも倖生が選んだのは、それができないありすだ。ありすは自分の思ったことを言えるし、やりたいことをやり通せる。百花にないものをいっぱい持っている。と、ここで初めて百花の恋心に気づいたありすは、自分の方が倖生を好きだと主張。百花も、自分の方が倖生を好きだと言いだし、互いに譲らない言い争いは延々続いて…。やがてすっきりした百花は、ありすの料理を食べる。「おいしいよ。これが作れれば十分じゃん」。空気を読んだり気を使ったりするのは他の人に任せればいい。倖生の世界にはありすしかいないわけじゃない――百花の言葉が、ありすに気づきをもたらして――。
ありすの店を出た百花は、優作(前原瑞樹)と鉢合わせる。百花のことが気になっていた優作がダメ元で飲みに誘うと、百花は意外とあっさりOKして…。

ありすはおでんの屋台を開き、倖生と金之助を招待する。2人が暖簾をくぐると、すでに心護と定一郎が待っていた。なぜ呼ばれたのか分からない男たちに、ありすはおでんの魅力を説き始める。いろんな具材が合わさって1つの世界を作っているのがおでん。大根だけでも、たまごだけでも、はんぺんだけでもおでんにはならない。それぞれの具が、良い味を出し合って、おいしいおでんになるのだと。人間も、助け合えばいいのだ。ありすの言いたいことを理解した金之助は、飼育小屋を完成させるために、定一郎や倖生、みんなの力を借りることに決める。

みんなで力を合わせ、飼育小屋は無事完成。すると虎之助は「ごめんなさい」と金之助に謝る。自分が友達の前で大工の父を自慢しちゃったから無理をさせてしまった…と反省する虎之助の頭を、金之助は笑顔でなでてやる。「バーカ。めちゃくちゃうれしかったよ」。息子に期待されることが嫌な父親なんていない…。そんな親子の光景を見たありすは、「倖生さんのお父さんも、かっこいいって言われることが何よりもうれしかったんじゃないでしょうか?」。倖生の脳裏に、子どもの頃、頭をなでてくれた晃生の笑顔がよみがえる。ありすが言う…「倖生さんは1人じゃないです。私たちの家族のようなものです」。ありすの思いが倖生の心に染み込んで…。

晃生に横領をなすり付けた人を探し出して、懲らしめよう、とありすに提案される倖生。そんな2人の前に百花が深刻な顔をして現れる。「ありすさん。あのね、さっき…」。百花は数時間前、大学で恐ろしい会話を聞いてしまった…。それは、心護と誠士(萩原聖人)の密談…「もう隠し通せない。横領のことも。火事のことも」と迫る心護に、誠士が言い返す…「未知子が殺されたって知ったら、ありすはどうなる?」――。2つの事件はつながっている…!?火事の中、命がけで未知子を運び出したのは、誠士だが…。
その頃、蒔子は、人けのない場所でひっそりと、“罪の証拠”を燃やしていた――。