夏休みのこの時期になると、決まって悩むことがある。
「昆虫採集は、かわいそう」という人への返答。
思えば小学生の頃から、私はこの答えに頭を悩ませて
きたような気がします。
結論から先に言うと、私は昆虫採集"肯定"派です。
いやむしろ、"推進"派です。
生き物を愛し、守るためには、まず生き物について深く
知らなければなりません。
「きれいだね」「かっこいいね」とただ眺めているだけでは、
決して分からない世界がある。
採集し、観察し、飼育してみて、初めてその生態がわかります。
「かわいいチョウチョがいるね」と眺めている人の足が、
平気でその食草(幼虫が食べる植物のこと)を踏み潰して
しまっていては、何の意味もないわけです。
本当の意味で生き物を愛している人は、必ず昆虫採集を
経験している。いや、経験すべきですらある。
これが私の、(あくまで個人的な...)考え方です。
でも最近、幼い娘と昆虫採集に出かけるようになってみて、
「虫さん、かわいそう」という素直な気持ちも、同じくらい
大切にすべきだと思うようになってきました。
「ハナムグリちゃん見つけたよ!」と言って、小さな虫を
愛しそうに眺める彼女に、一体どうやって上記の価値観を
伝えろというのでしょう。いや、無理。
...結局、最近うちの親娘は、生き物を採った後で逃がす、
キャッチ&リリースを心がけるようにしています。
リリースさえすれば万事OK!なんていう単純な話では、
本当はないのだけれど...。
2つの矛盾した「愛の形」を伝えられる(ような気がする)
私なりの1つの答えです。
大人にだって、夏休みの宿題はある。
今年の夏もまた、答え探しに取り組みたいと思います。
※写真は、近所の公園で見つけたヤモリ。
じっくり指先を観察したあと、公園に帰しました。
桝 太一