「プログラム●番、○○高等学校。...、ゴールド金賞」
吹奏楽を経験したことのある人なら、誰もが「その言葉を聞きたい」と思っていたことでしょう。目指す目標によっては変わるかもしれませんが、やはりあこがれる響きです。
2013年、高校2年生の夏。
中学生からフルートを始めて5年目、ついにその言葉を聞く瞬間が訪れました。
実際には「○○高等学校。...、g」「キャアアアアアアアアアアアアアア」といった具合です(吹奏楽あるある)。嬉しすぎて、最後まで聞いていませんでした (笑)
しかし、それをも上回る忘れられない瞬間が。
それは演奏中のことです。自由曲に選んだのは、J.シュトラウス2世作曲、喜歌劇「こうもりセレクション」。
全員でフィナーレへと向かっていき、息を合わせて最後のハーモニーを鳴らした瞬間。音の響きが一瞬にして何倍にもふくれ上がり、優しく、柔らかい響きに包み込まれました。音が鳴りやんでも、その感触は消えませんでした。
今でも思い出すたびに、音が聞こえ、感覚がよみがえってくる気さえします。体で覚えている記憶というのは、長い時間が経っても消えないものなのかもしれません。
「ああー!私はこの瞬間のために音楽をやってる!」と、心の底から感じました。
あれから7年。中止にならざるを得なかった今年の吹奏楽コンクール。
コンクールという目標を失うこと、特に3年生にとってはどんなに辛いことか。演奏できる喜びを知っているからこそ、気持ちを想像するだけで胸が痛みました。
そんな中、担当するnews zeroで、とある名門高校の吹奏楽部に取材する機会がありました。たくさんの葛藤や苦労も伺いました。しかし顧問の先生をはじめ、部員の皆さんは前を向いていたんです。こんな時だからこそ、音楽の力で元気を与えたいという思いから、リモート演奏、オンライン配信、さらに甲子園代替試合のリモート応援を実現していきました。
改めて、音楽は人の心を動かす力を持っていると感じさせられた取材でした。
なんと言っても吹奏楽の魅力は、みんなで音楽を作りあげること、そして表現する楽しさ。
テレビの仕事、アナウンサーの仕事と通じる部分があるのかも、と思っています。
いつか "アナウンサー"というパートを通して「私はこの瞬間のためにやってる!」と思える瞬間が来るように、「一音入魂」で頑張って参ります!
練習中に書き込んだメモがびっしりな楽譜。