「中学生たちへの"出張授業"」
ー忘れられない人との出会いがあります。
2018年9月北海道を襲った大地震そして大停電。
現場に入った私は夜8時、真っ暗な住宅街の中の1軒のお宅を取材していました。
家ではテレビがつかない中、中学生の男の子が
スマートフォンを駆使して、家族を支えていました。
食料や水の配給、緊急時の灯の作り方など、
SNSを駆使して情報を集め、彼は頼もしい司令塔でした!
今月、私は練馬区の都立大泉高等学校附属中学校の教壇に立ちました。
1年生へ『情報の海の泳ぎ方』を教える授業です。
これは、日本テレビが各学校に出向き行っている、いわゆる「出張授業」で
子供達が出会うインターネットの世界を
玉石混合の情報が漂う海にたとえ、悪い情報に翻弄されることなく
確かな情報をつかむ力を身につけよう!という内容です。
私はアナウンサーとして
「正確に伝える」をテーマに20分ほど授業を展開。
2015年から4年弱に渡り、事件事故災害の最前線で取材し
自らの口で伝えた経験を40枚以上のスライドや写真と共に語りました。
特に熊本地震時、SNSで「ライオン脱走」という情報の
真偽を確かめる現場話にはみんな大興奮でした。
想像で安易に伝えてしまうことの怖さや
滑舌やイントネーションの誤りで情報が届かない恐ろしさも
アナウンサーの視点で伝えました。
階段状の真新しい大教室から注がれる200個以上の瞳。
私も1人1人の座席にお邪魔し、マイクを向けていきます。
生徒のほとんどがスマホを使い、SNSで発信したことがあるそうで、
「人を騙さない為に」「自分が騙されない為に」
全員とても真剣でした。
最後に私は中学生の彼らにこう伝えました。
「もしもの時、皆は一人一人が情報発信できる
小さなメディアとなる時代。
自分の周りで起きている事、困った事、求めている人がいたら
耳を傾け、正しく伝える勇気を持って欲しい。」と。
北海道で出会った中学生が、自身のスマホで
家族の命を守り、安心感を与えられていたように
私は次世代の子供達が確かな情報を発信できる力を信じたいです。
これからも情報の大海を怖がらず、
勇気を持って泳げる子供達が一人でも増えるよう
私も、子供達に直接経験を伝えていける機会が増えれば
喜んで向かいたいと思います。
藤田大介