8月20日 桝太一

「業界用語」というものはどの世界にもあるものですが、
私の属していた昆虫採集業界には、「〇〇屋」という言葉がありました。
自分の専門分野を"屋号"のように表すもので、トンボばかり採る人は「トンボ屋」、
カブトムシやクワガタ好きは「甲虫屋」といった具合。
ちなみに蝶々好きだった私は、今でも「チョウ屋」を自称しています。
マニアックになってくると、ゲンゴロウなどを追いかける「水生昆虫屋」、
果ては「オサムシ屋」「ゴミムシ屋」なんて友人もいました
(どんな虫か画像検索するのは自己責任で...。でも、知れば知るほど興味深い虫たちなんです)


なぜこんな話を急に思い出したかというと、今年の夏休みは遠出できず、
毎日近場の公園で親子昆虫採集をしていたから。
やはり子どもにとっては昆虫界のヒーローはカブトムシなわけで、
娘からは当然のごとく採集リクエストがあるわけですが...
すまぬ娘よ、父はチョウ屋であって、甲虫屋ではないのだ。
不思議なもので、チョウなら、いそうな場所・時間帯・雰囲気まで全て直感的にわかるのですが、
これがカブトムシとなると、全くセンサーが働かない。
結局、2020年夏、桝家では娘にカブトムシを触らせてやることはできなかったのでした。


...ちなみに後日、その顛末を聞いた会社の上司のお子さんが私に同情して、
自分が採集したカブトムシを分け与えて下さるという、まさかの展開になりました。
チョウ屋の私も何かお返ししたいところですが、
いかんせんチョウはカブトムシと違い虫かごで飼えるようなものでもないので、どうしようもない。
今はただ、しっかり飼育し産卵させ、来年には立派な二代目カブトムシを里帰りさせるしかないと、
奮闘中です。


願わくは、上司のお子さんも将来、立派な「甲虫屋」になりますように...。


※写真は飼育中のカブトムシ。
夜行性ですが、ZIP!担当のおかげで毎日出社前に元気な姿を拝めて幸せ