7月18日 尾崎 里紗

今、私は異様な雰囲気の中でこの文章を書いている。
カメラ3台に囲まれ、その真ん中には一台のテーブル。
お菓子とお茶が置いてあり、明るい空間なのだが、とても静かで、
私がPCを打っている音しか響かない。


これは『日テレアカデミア』というサイトで見られる、
「Study with me」という動画コンテンツ。
仕事内容は、約1時間ただ勉強や作業をするだけ。
一人で勉強をする時にこの動画を流しておくことで、
より集中できる人が多くいるらしく、世界中で広まっているのだそう。



こうして椅子に座って作業をしていると、学生時代のことを思い出した。


『勉強に集中するために部活動は禁止』という規則の下、
参考書とにらめっこの生活を送っていた高校時代。
朝の7時から夜の7時近くまで学校で過ごしていた。
そこに塾が加わると帰宅時間は夜11時過ぎ。その間の心の友は専ら音楽だった。
当時、憧れる人は?と聞かれると、「シンガーソングライター!!」と答えるほど、
作詞作曲が出来る、クリエイティブな人に陶酔している学生だった。
もちろん、尊敬する気持ちは今も変わらない。


しかし、アナウンサーという「表現者」になってわかるのは、
作った人の世界観を崩さずに表現できる歌手も演奏者も、同じくらいすごい、ということ。
むしろ、同じ方向を見て、作者の想像通りに仕上げること、
想像を超えることがどれだけ難しく、プレッシャーのかかることだろうか。
時間が経ち、立場が変わったからこそ、違う観点から同じ音楽を楽しむことが出来る。


あの高校時代から、もう10年が経った。時間の流れの速さは恐ろしい。


失敗した出来事も、ダメだった経験も、間違っていたように感じる選択も、
それら全て含めて、現在につながっている。
だったら、これから人生の選択に悩んだとしても、怖がらずにその時の最善を選んでいこう。
そう思えた。10年後の自分には、また違った世界を見つけていて欲しいなぁ...。