3月18日 町田 浩徳

最近、犬に見つめられた。

黒目が潤んでいるように見えて、たまらなく愛おしい。

「どうしたの?さみしいの?じゃあ・・・」と話しかけたところで、

フぁ〜〜とあくびをされ、プイっと興味なさそうにソッポを向かれた。

「オイ!」と突っ込みたい気持ちと、犬の気持ちを分かったかのように話しかけていた自分への恥ずかしさが交錯する。

 

犬のしつけでは、基本的に怒ると逆効果で、ミスをしても何事もなかったかのようにスルーするのが一番いいと聞いたことがある。

ましてや、「何度言ったら分かるんだ!」と怒るのは最もダメなパターンとか。

そりゃそうだ、言葉で「何度言っても」分かるはずない。

潤んだ目を見て話しかけても意味がないと今、気付いた。

 

その点、人間は言葉を扱う。そして言葉に含みを持たせ、行間を読ませる。時には本音を隠し、逆のことを言ったりもする。

だからこそ真意を知りたくなるし、相手を理解しようと努める。

表情の変化や感情の機微を見逃さず、話す言葉の後ろにどんな想いが込められているのか、そこを正しく捉えることを私は大切にしている。

 

先日 実況した東京マラソン2021車いすマラソンでは、出場した全選手にリモートで事前取材をさせて頂いた。

選手一人一人に溢れる想いがあり、強い思いが車輪を動かしていた。

その想いを伝えたい相手がいる。その思いを知りたい人もいる。その橋渡しが自分の役目と責任だと思っている。

 

潤んだ目に騙されてもいい。

目の前であくびをされてもいい。

自分の仕事に誇りを持ってこれからも向き合っていきたい。