8月6日 町田浩徳

バイクの免許がないのに、バイクに乗って時速350㎞を出す。
これが許されることを、入社して2年目に知った。
「オートバイロードレース世界選手権MotoGP(モトジーピー)」。
二輪ロードレースの世界最高峰と言われるレースだ。

サーキットをバイクで走る時、公道を走るための免許は不要。
実際に、免許を持っていないライダーたちも多いと聞く。
ウィンカーやサイドミラーは無く、一度走り出したら一時停止もしない。
一般道と比べちゃダメな世界。

バイクに垂直にまたがった時を0度とするならば、曲がる時はバイクを65度くらいまで傾けるときもある。その時はヒジとヒザが路面をこする。
350㎞出てる時に、ハンドルから片手を離して手を挙げようもんなら「空気抵抗で即、脱臼するかもね」とライダーの方が以前、笑いながら話してた。
・・・笑えない。

「200㎞以上の世界だと、今250㎞で走っているのか300㎞出ているのか、正直よく分かんないんですよね。雨が降って路面が濡れていても時速300㎞くらいで走ってますよ。」と笑う現役ライダー。
・・・笑えない、というより笑うしかない気がしてきた。

そんなとんでもない世界を走ることを許されたライダーは毎年20人ちょっと。
その中にただ一人、日本人現役ライダーがいる。
中上貴晶(ナカガミ タカアキ)選手28才。
期待を一身に背負い、日本のエースとして今年もレギュラー参戦している。

「笑えない世界」を実況中継し、表彰台で笑う中上選手をお伝えしたい。