12月6日 森 圭介

「そんなつもりで言ってないのに...」
そう思うことがよくある。その最たるものが「流行語」だ。
「じぇじぇじぇ」のように日常生活で使わないものなら構わない。
でも、たとえば、仕事の締切に遅れた後輩に対して真剣なトーンで
「じゃあそれ、いつやるのよ」と怒ったが最後、あのフレーズが返ってくるという悲劇。
いやいや、別にフリじゃないから。怒る気も失せる。
今まで普通に使っていた「今でしょ」という言葉の意味が
「流行語」という、いわば祭りのようなものに持ち去られてしまった。

「おもてなし」だってそうだ。
私は以前から「仕事をするうえで気を付けていることは?」と聞かれたら
「見てくださっている方におもてなしの心を持って伝える」と答えていた。エヘン。
それがどうだ。これからそんなことを言った日には
「あぁ、さっそく流行語を取り入れてみたんですね」と
冷ややかな目を向けられることが容易に想像できる。
返してくれよ、あの穏やかな日々を!

そして事態はさらに深刻になる。
流行るということは、すたれる時が来るということだ。
つまり最も恐ろしいのは「流行が過ぎ去ったあとの流行語」だ。
勝手に時代にもてはやされ、勝手に時代遅れになってゆく。フォー!
これからずっと、おもてなしという言葉を使うたびに、
本来の意味ではなく、あのジェスチャーが思い出されてしまうのだ。ワイルドだなぁ。

一度奪われた意味が元に戻るのには時間がかかる。
ほんとに迷惑だっちゅ~の!この状況をどげんかせんといかん!

少なくともこの一年は、
倍にして返されるようなことはせず
人をもてなさず、
物事に驚かずに、
今やれることは後回しにして生きていこう。そうしよう。