足の震えが止まらない。下を見ると思わず逃げ出したくなる。
大観衆の甲子園のマウンドで投げた経験はここではあまり関係ないようだ。
安全装置のハーネスを付け、係の人に両手を持ってもらいながら、
1歩1歩恐怖と闘いながらスタート台の1番端に後ろ向きに立った。
あとはカウントダウンとともに後ろに飛べば5秒ほどで106メートル落下する。
39歳にして初めての経験。
これから私は群馬県八ッ場ダムでバンジージャンプに挑戦しようとしている。
日本一高いブリッジバンジーだ。
私が担当している「シューイチ」の企画。仕事でなければおそらくやっていないだろう。
逆に言うと「仕事だから」と自分を納得させる材料にしていた。
自分が飛ばないとこのロケは成立しない。飛ぶしかないのだ。
私の役目はバンジージャンプをしながら実況すること。
こういう時、飛んだ直後に何を言うか、第一声が1番大事。
何かオリジナリティーとインパクトのある言葉が必要だ。
実況のことを考えると多少、恐怖心が紛れる。前日の夜にいいフレーズを思いついた。
「万事休す!(バンジー休す)」
フレーズが決まれば意外とぐっすり寝られた(笑)
「5、4、3、2,1,0」
「バンジー休す!」
あとは何を言ったかよく覚えてない。
ただ「面白かった」「よく頑張った」という言葉を頂いた。喜んでもらえればそれでいい。
いかなる状況でも言葉で伝えられる、実況できるアナウンサーをこれからも目指していきます。