30年前。
昭和から平成に替わった瞬間、私は特別番組の司会でスタジオにいました。
時計の針が午前0時を指し、「平成元年」という手書きの字幕が画面に浮かび上がったとき、
それまでの重苦しい雰囲気から、ふっと解き放たれたような感覚になったことを覚えています。
産院からの中継で、平成生まれ最初の赤ちゃんが紹介されたとき、黒い服に身を包みながら
思わず「おめでとうございます!」と、出産直後のお母さんに呼びかけていました。
あの時の赤ちゃんも、今や30歳なのですね。
そして、今年5月1日、令和の初日。
私は特番の後見役として、アナウンス部で待機していました。
即位の儀式に向かわれる新天皇皇后両陛下の様子を沿道でリポートする若手アナウンサーが
言葉に迷ったときなどに、昔を知る人間として助言するため。
当日の担当アナは、半数以上が平成生まれ。しかし皆、入念に準備して生き生きと実況し、
"ばあやの手助け"が必要な場面はありませんでした。
街もにぎわい、華やぐ、今回の改元。
大きな訃報の直後だった前回とは、何という違いでしょうか。
制度を見直し改めることで、時代の気分はこんなにも変わる...。
気づき、提言し、支える。公にたずさわる人の仕事だと思います。
人々に明るさをもたらす改良のタネは、身近なところにまだいくつもあるのかもしれません。