「色彩に浸る。」
これまでに味わった事がない感覚だった。
吹奏楽部だったり、ミュージカル好きなこともあって音に浸る、
包まれるという感覚は昔から好きだった。
それが最近ではすっかり、美術に熱を上げ、
暇を見つけてはせっせと美術館通いを続けている。
きっかけは、夏休みでスペインに行き、美術館巡りをしたこと。
全く美術は詳しくなかったが、ひたすらに、「来日したら大行列!」と
いうような名画を見続けているうちに、
うわぁ、これ好き!すごい!なんだこの色は!構図は!と
感じるようになっていった。
日本に帰ってからは、美術展毎に解説の本を少しずつ読んだり、
小説を読んだりしているうちに、画家たちの個性や、関係性が分かり、
なるほど、この時代だから、こんな影響を受けているのか。などと、
ほんの少し知識を入れるだけで見方が変わり、目と心、そして頭でも絵を見るようになった。
そうしていると、ふと絵の前に立った時に
「もー、セザンヌってば、こんな絵まで描いちゃって!!どこまですごいのよ!!」と、
なんだか画家と時を超えて知り合いみたいな、変な気分になったりもして、
絵画の持っている力にただ驚くばかりだ。
そうした中で、私が特にオススメしたいのは、いろんな旅のついでに、
その土地で開催されている美術展に行くこと。ふと好きな絵に出会えたり、
より近くで思わぬ名画を鑑賞できたりする。
特に開館直後や閉館直前は人が少ないこともあり、運が良ければ、
展示室の一部屋ごと独り占めして、静寂の中、その色彩に浸ることが出来る。
2025年に私の地元でもある大阪での万博が決定した。
歴史を紐解けば、万博を通し日本の文化や美術がヨーロッパでも知られるようになり、
西洋絵画にも少なからず影響を与えたと言われている。
当時、雨を線で描き、大胆な構図の日本の浮世絵にヨーロッパの人々は衝撃を受け、
ジャポニスムと熱狂したそうだ。
今の日本はどんな驚きや、期待感を世界に発信出来るのだろうか。
とにもかくにも、もう少し、私の美術熱は続きそうだ。
「スペインの美術館、ソフィア王妃芸術センターの前で」