この原稿を書いている時、その数字は「13」
これが25年ぶりに「0」になる瞬間を、待ちわびている人たちがいる。
2016年セントラル・リーグ、広島東洋カープの優勝へのカウントダウン、
いわゆるマジックナンバーと呼ばれる数字です。
この数字が0になったとき、1991年以来のリーグ優勝が決まりますから、
私も含めたカープファン一同は、毎日ドキドキしながら見守っているわけです。
四半世紀前、カープ6度目の優勝が決まったのは、10月13日のことでした。
当時小学生だった私に、普段は厳しい父親が、翌朝のスポーツ新聞を
全紙まとめて大人買いしてきてくれたことを思い出します。
父が熱狂的な阪神ファン、姉が巨人ファンだった桝家の中で、あんなに
鼻高々でいられた日はありませんでした。
...今年、もしも大願が成就したならば、大人になった自分はどうなるのか、
今はまだ想像がつきません。
強いて例えるなら、小学生時代の初恋の女の子と、大人になってから
久々に再会する、その待ち合わせ時刻5分前、という気分でしょうか。
ぼんやりと美化された記憶の糸をたどりつつ、自分はどんな顔でその人を
出迎えるのだろう、第一声はどんな言葉を口にすれば良いのだろう、
自分はその瞬間、どんな気持ちになるのだろう...? 選手の皆さんが毎試合
懸命に戦っているのに、私はそんな余計なことばかり考えてしまっています。
待ち人来たらず、なんてことにならないようファンとして気を引き締めつつ、
今はまだ二桁の数字とにらめっこしている日々です。