10月4日 「繰り返すことに価値がある」 青木源太

三重県の伊勢神宮に来ています。20年に1度、社殿を新しくして神様を移す式年遷宮の取材です。
式年遷宮は飛鳥時代後期にはじまり、1300年以上続いていて、
社殿だけでなく、宇治橋や鳥居、御装束神宝(調度品)なども新しく作り直します。

その目的は様々に語られます。

神様に新しい社殿に移っていただき、常に若々しく瑞々しい「常若」(とこわか)の神宮を作り出すこと。
また、建築物や神宝を作る日本の伝統技術を次世代に継承していくという側面もあります。

そして、今日取材した「せんぐう館」(様々な資料を通して式年遷宮について学ぶことができる施設)には、
下記のような記述がありました。

繰り返すことによって
限りあるものを
永遠なるものにするのです

その発想の源は
稲作を繰り返して来たこの国の
国柄にあるのかも知れません

繰り返すことに価値がある。
確かに、もしも国のかたちが変わっていたら、日本が日本でなかったら、
式年遷宮の伝統は途絶えていたかもしれません。

そして国柄とはつまり、日本人が大切にしなければならないものは何かということ。
四季折々の自然と向き合い、祈り、感謝し、稲作を続けてきた日本。
普段東京で暮らしていると、それを意識することは少ないかもしれません。
自分にとって、今回式年遷宮の取材することが、
日本の伝統的な価値観や美意識を考える良いきっかけになりました。

ちなみにこのLa Letterは、だいたい1年に1回順番が回ってきます。
思えば前回は岩手県平泉・中尊寺での取材後、宮中祭祀について執筆しました。
「繰り返すことに価値がある」というところで、来年も皇室に関わる事柄を書きたいと思います!!
20年に1度、1300年の歴史を持つ式年遷宮とは、比ぶべくもありませんが。