食リポに苦手意識がずっとありました。
アナウンサーの仕事において避けては通れないものですが、いまだに食リポを終えると、あの味を、あの食感を、どう表現すればよかったのだろう、どうしてもっと言葉が流れるように出てこないのかな、などと、うじうじ反省かつ落ち込む時間が訪れます。
ただ、最近、ひとつの“気づき”がありました。
これまで食リポのロケ、となると、進行役としてタレントさん達についていく、もしくは私一人、ということが多かったのですが、後輩と一緒にロケに行く機会が増えました。
そこでお手本となるように良いコメントを言わなくては、なんて最初は意気込でいたのですが、後輩が楽しそうに食べているのを横で見ていて、思ったのです。
ああ、この表情が何より伝わるな…、と。
美味しい食べ物を口に入れた瞬間、幸せが顔中に広がるように、ふわっとほころぶ様子があれば、あとは無理に言葉をこねくりまわさなくても、シンプルな説明で、きっと見ている方に届くのではないかと感じました。
映像だけではわからないことを、簡潔に丁寧に伝えることは手を抜かず、でも肩の力は抜いて、食事を楽しむこと。
原点に立ち返ったようですが、大切なことをすっかり忘れてしまっていたようです。
4月で入社13年目になりますが、まだまだ発見があるこの仕事が、とても楽しいです。