林田亜乃音(田中裕子)はその日、自宅1階の廃業した印刷工場の床下で、大量の1万円札の束を見つけ…。
一方、通称“ハズレ”こと辻沢ハリカ(広瀬すず)は、清掃のアルバイトをしながら同年代の美空(北村優衣)と有紗(碓井玲菜)と共にネットカフェに寝泊まりしている少女。
スマホのチャットゲームの中でだけ会える闘病中の“カノン”さん(清水尋也)と日々の他愛ない会話を交わすのが楽しみだ。
ある日、友人とのドライブ中に札束の入ったバッグが捨てられているのを見たという有紗の記憶を頼りに、ハリカたちは「柘」という町を目指すことに。「つげ」は、かつてハリカが祖母(倍賞美津子)と暮らした幸せな記憶のある町の名前で…。
一方、医者から半年の余命宣告を受け店を畳もうとしていたカレー屋店主・持本舵(阿部サダヲ)は、の客・青羽るい子(小林聡美)と意気投合し、二人で死に場所を探す旅に出ていた。
カレー屋のワゴンで二人が流れ着いたのは柘という町。捨てられた大金がきっかけとなって、出会うはずのない人たちの運命の糸が引かれようとしていた。
その日、いつものように出勤準備をしていた林田亜乃音(田中裕子)は、落とした結婚指輪を拾おうとして自宅1階の廃業した印刷工場の床下で謎の大量の一万円を見つけてしまう…。
清掃のアルバイトで生計を立てている通称“ハズレ”こと辻沢ハリカ(広瀬すず)は、同年代の美空(北村優衣)と有紗(碓井玲菜)と共にネットカフェに寝泊まりしている身寄りのない少女。ささやかな楽しみはスマホのチャットゲームの中でだけ会える“カノン”さん(清水尋也)と他愛のない会話を交わすことだ。闘病のため長い入院生活を送っているというカノンのお気に入りの話は、ハリカが8歳から12歳まで「つげ」という町のツリーハウスで祖母・真砂子(倍賞美津子)と暮らしていた頃のおとぎ話のように幸せな思い出話。
ハリカはカノンに頼まれる度、スマホの画面を通して何度もこの話をしている。
ある日、友人とのドライブから帰った有紗が、海岸で大金の入ったバッグが捨てられているのを見たと打ち明ける。そのお金を探そうと、ハリカたちは有紗の記憶を頼りに「柘」という町を目指すことに。柘はかつてハリカがお婆ちゃんと暮らした思い出深い町でもあった。
一方、医者から半年の余命宣告を受け、自らの命を断とうと決意したカレー屋の店主・持本舵(阿部サダヲ)は、店を畳もうとしていた矢先、来店してきたずうずうしくも謎に包まれた客・青羽るい子(小林聡美)と意気投合。なりゆきで一緒に死に場所を探すことになった二人が行き着いたのは「柘」という町だった。
時を同じくして「柘」に到着したハリカたち三人は、テトラポッドの隙間に隠してあった大金の入った保冷バッグを見つける。しかし美空が裏切って独り占めして逃走したり、偶然通りかかったるい子・舵に奪われたりと争奪戦が繰り広げられ、最終的に取り残されたハリカの手に渡ることになるのだった。
一人となったハリカは、かつての記憶を頼りにお婆ちゃんと過ごした柘の森にたどり着く。しかしそこでハリカを待ち受けていたのは、残酷な現実——。幸せな思い出のつまったツリーハウスは存在せず、そこにあるのは、酷く朽ち果てた更生施設の跡地。
幸せな思い出は、全てハリカの頭の中ですり替えられた嘘の記憶だったのだ。
心の支えとし信じきっていた美しい思い出は全てニセモノだったことにショックを受けたハリカは、カノンにそれを打ち明ける。しかし、さらに衝撃の事実を知ることに。カノンもまた、ハリカとともにあの更生施設で過ごした少年・紙野彦星だったのだ。
一方、ついに死ぬ決意を固めたるい子と舵だったが、やってきた海岸でとんでもない光景を目の当たりにする。
それは大量のお札を一斗缶の中に放り投げ豪快に燃やす亜乃音の姿−−。
捨てられた大金がきっかけとなり、出会うはずのなかったハリカ、るい子、舵、亜乃音、そして謎の男・理市(瑛太)の人間関係がゆっくりと動き出そうとしていた。