帰宅困難になったら
地震発生後に電車が止まって帰宅できなくなっちゃった。家族のことも心配だからすぐに歩いて帰宅しようか・・?
ちょっと待ってください!
みんなが焦って帰宅しようと一斉に動き出すと、道路や歩道が多くの人で埋まり、大渋滞が発生する可能性が高くなります。すると、警察・消防・ 自衛隊の車両が速やかに現場に到着できず、救助・救命活動に支障をきたすことも想定されます。
駅の入り口などに人が密集してしまい、集団で転倒してしまう群衆雪崩という事態も起きかねません。途中の路上で大規模な火災に巻き込まれる危険性もあります。避難中にも度重なる大きな揺れで、倒れてきた建物の直撃を受けるといった二次被害にあう可能性もあります。
東日本大震災の際に首都圏では鉄道などがストップしたために約515万人が帰宅困難となり、大混乱を招きました。
大きな地震など突然の災害により、勤務先や学校、出先から公共交通機関で家に帰ることができなくなることは、全国どこでも発生する可能性があります。
その時、どうしたらよいのか、あらかじめ準備しておくべきことはどのようなことかまとめました。
帰宅困難になったときに大切なのは、まずは近くで安全に過ごせる場所を見つけて、事態が落ち着くまでじっとしていることです。
◆いざ地震発生、帰れなくなったときは・・・
まずは落ち着いて行動することが大切です。
むやみに移動せず、 今いるところの近くで一時避難することができる場所を探しましょう。職場や学校、外出先等の安全な場所や、自治体が準備する一時滞在施設が利用可能か調べて、そこに留まるようにしましょう。
東京都の場合、災害時にはむやみに移動せず、職場や学校などで3日間待機するように呼びかけています。これは、救命活動で命を守ることができるデッドラインの72時間は救命活動をスムーズに進めることが最優先だからです。
◆帰宅困難になった人への支援策は?
一時滞在施設
多くの人が帰宅困難になりそうな自治体では、地震後に待機する場所がない帰宅困難者等を一時的に受け入れてくれる施設を整備しています。
一時滞在施設では、食料、水、毛布又はブランケットを提供してくれるほか、トイレも使えますし休憩場所もあります。また、テレビやラジオなどでの情報についても提供してくれることになっています。
東京都の場合では、2023年1月現在、都立の施設など1,217か所が確保されています。
しかし、いつでも受け入れているのではないので、災害発生後にその施設が帰宅困難者の受け入れを始めたかどうか、自治体が出す情報を確認してから行動してください。3日間程度は一時滞在を受け入れてくれる計画になっています。
一時滞在施設の場所は、自治体のホームページなどで事前に調べておくと便利です。
【東京都防災マップで調べよう!】
東京都の場合は防災マップで、災害時帰宅支援ステーション や、一時滞在施設等の情報が検索できます。
https://map.bosai.metro.tokyo.lg.jp
災害時帰宅支援ステーション
事態がある程度落ち着いて、多くの人が徒歩で帰宅しようということになった時には帰宅支援ステーションが利用できます。
これは、コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、ガソリンスタンド、学校等が自治体の要請を受けて、歩いて帰る人たちに水道水やトイレを提供するほか、帰宅支援の情報等も提供することになっています。
こうした施設には、わかりやすくステッカーが貼られています。
◆帰宅を開始するときの注意
災害後に事態が少し治まってきて、歩いて帰宅を始めようという時に、会社などにとどまっていた人が一斉に動き出すと道に人があふれて大混乱を招きかねません。
あらかじめ職場などの中で、帰宅開始の順序などを定めた帰宅ルールを策定しておくなどして、状況を見ながら分散して帰宅するようにしてください。
あらかじめやっておくべきことは‥
◆家族の安否確認のルールを決めておこう
帰宅困難になってしまうと、何日も自宅に帰れないケースも想定されます。
家族がどうしているか心配になってしまうので、あらかじめ安否確認の方法を家族でしっかり取り決めておきましょう。
災害に遭遇したら・・ 救助要請・安否確認の方法
災害に遭遇したら・・ 救助要請・安否確認の方法|日テレ防災サイト|日本テレビ (ntv.co.jp)
◆帰宅のルートを決めておこう
会社や学校などからどうやって家まで歩いて帰るのか、あらかじめ地図で確認してルートを決めておきましょう。人間が歩いて移動できるのは、1時間に4キロほど。災害時には障害物や混雑などでもっとずっと遅くなるはずです。
東京都の想定では自宅までの距離が10キロ程度までなら歩いて帰ることができるだろうとしています。歩いて帰るルートを選ぶ時には、幅の広い幹線道路や帰宅支援対象道路など、なるべく安全な道を選ぶようにしましょう。
帰宅支援対象道路とは、災害時帰宅支援ステーションが配置されている道路で、ステーションの位置をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
◆靴などの準備をしておこう
歩いて帰るには、ハイヒールなど歩きにくい靴を履いて帰るのは避けたいところです。職場や学校などに、歩きやすい靴をあらかじめ準備しておくと安心です。
また、一時滞在施設にとどまることになった場合、困るのが普段使っている薬など。毎日薬を手放せないという方は、数日分を持ち歩くか、職場などに置いておくこともよいでしょう。