南海トラフの巨大地震に備える

南海トラフの地震とは

南海トラフの地震は、「南海トラフ」と呼ばれる駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として、概ね100～150年間隔で繰り返し起きてきた海溝型地震です。

日本は4つのプレートがぶつかり合っていて、海側のフィリピン海プレートが沈み込む際に、陸側のユーラシアプレートを地下へ引きずり込んでいきます。

この力に耐えられなくなり、跳ね上げられるようにプレート境界がずれて起きるのが南海トラフの地震です。

南海トラフのプレート境界で前回に起きた地震は、昭和東南海地震（1944年）及び昭和南海地震（1946年）です。

その前は、1854年の安政東海・南海地震、1707年の宝永地震でした。

南海トラフの巨大地震が起きると、どのような被害になるの？

南海トラフでいったん地震が起きたら、マグニチュード8～9といった巨大なものになります。

政府の地震調査研究推進本部が公表した南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率は、70％～80％と非常に高い確率となっています。

南海トラフの地震で注意すべきは、まずは激しい揺れ、そしてその直後に襲ってくる津波です。

国の想定では、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。

大都市でも、名古屋の一部では震度7が、大阪では震度6強が予想されています。

関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波の襲来が想定されていて、特に高知県の黒潮町では34.4メートルもの津波となり、静岡県の下田市などでも非常に高い津波が襲来する予想です。

最も早い静岡県のケースでは1メートルの高さの津波がたった2分で来てしまう所もあります。

海岸で揺れを感じたらまず高台へ逃げることが重要です。

南海トラフ地震で怖いのが、長周期振動です。

長周期振動は、周期が長くゆっくり揺れますが、高層ビルなど高い建物や長い橋などが大きく揺れ、高層階の方がより大きい揺れとなります。

東京・名古屋・大阪などの軟らかい地層で被害が大きく、揺れが続いて所によっては400秒以上も揺れ続ける予想です。

長周期震動で恐ろしいのは、家具が飛び回り凶器になることですから、高層階では家具などをしっかり固定しておくことが大切です。

　※気象庁HPから

国は最新の見解で、「確度の高い地震予測はできない」としています。

東海地震について、これまでは体積ひずみ計のデータに異常が出た時に“3日以内に地震が起きる可能性がある”として警戒宣言を出すことにしていましたが、現在は東海地震のみに着目した情報（東海地震に関連する情報）の発表は行っていません。

南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合や、調査結果を発表する場合などに「南海トラフ地震臨時情報」が発表されます。

具体的には次の3つのケースが起きた場合、気象庁は「普段より地震が起きる可能性が高まっている」として臨時情報を発表することになっていて、被災想定エリアでの避難などの対応を求めることになります。

南海トラフの片側で「マグニチュード8程度」の地震が発生し、もう片側にも連動するかもしれないと専門家が判断した場合。

対応⇒巨大地震警戒…すぐに津波が到達する地域の住民は「事前避難」。沿岸の学校は「休校」に。

南海トラフで「マグニチュード7程度」の、巨大地震よりはひと回り小さい地震が発生し、巨大地震の前震の可能性があると専門家が判断した場合。

対応⇒巨大地震注意…家具の固定、非常食の準備、避難場所の確認を行うなど、普段からの備えを再確認。

南海トラフのプレート境界で「すべり」が発生し、巨大地震の前兆現象の可能性があると専門家が判断した場合。

対応⇒巨大地震注意…家具の固定、非常食の準備、避難場所の確認を行うなど、普段からの備えを再確認。