日本海溝・千島海溝の巨大地震に備える
◆切迫する日本海溝・千島海溝の地震とは
日本は4つの巨大なプレートがぶつかり合っているところにあり、プレート境界がずれる際に起きる巨大な地震で津波も発生し、被害が繰り返されてきました。東日本大震災を起こした日本海溝では岩手県より北側の部分が割れ残っていて、さらにその北側の北海道の沖合からカムチャッカ半島にかけての千島海溝も巨大地震が繰り返し発生するとみられています。
過去にどのような地震が起きたのか確認するため津波による堆積物を調べたところ、約3~4百年間隔で大きな津波が発生していることが確認されました。しかしいずれの地域でも17世紀以降には起きていないことから次の地震が切迫していると考えられています。
※図:気象庁
◆揺れの大きさはどれくらいに…
最大クラス(マグニチュード(M)9クラス)が起きた場合、岩手県から北海道の太平洋側の広い範囲で強い揺れが推定されています。
とくに北海道厚岸町付近では震度7が。北海道えりも町から東側の沿岸部では震度6強となる予測です。また、青森県太平洋沿岸や岩手県南部の一部でも震度6強が予測されています。
※内閣府報告書から
◆津波の大きさはどれくらい?
北海道から関東の太平洋側にかけて高い津波が襲ってくる予測です。
北海道のえりも町では高さ30m弱の津波となる予測。根室市からえりも町付近にかけては10~20mを超え、苫小牧市や函館市などで10m程度の津波。
青森県八戸市の高いところで25mを超え、岩手県宮古市では30m近い高さとなり、太平洋沿岸で10~20m程の津波となる予測です。
さらに宮城県よりも南側では、宮城県や福島県などでも場所によっては10mを超える予測です。
岩手県内宮古市付近より北では、東日本大震災の時よりも高い津波が襲ってくる想定です。
※内閣府報告書から
◆被害想定は?
被害想定も甚大なものになっています。
日本海溝の地震では、最悪約19万9千人もの人が死亡し、千島海溝の地震でも約10万人もの人が死亡する想定です。
◆寒い時期に起きると大変
特に極寒の冬場に地震が起きて津波が発生すると、被害は甚大なものになると想定されています。大雪や吹雪の中では地震発生後にすぐに高いところ移動して避難することもままなりません。
たとえ避難できたとしても、避難先での寒さ対策も重要になってきます。また、避難場所に備蓄品を置きたくても凍ってしまうことを想定すると水などの保管にも工夫が必要です。津波によって水に浸かってしまった人は低体温症も心配されます。
地震が冬場に起きることも想定して、寒さ対策を事前にとっておく必要があります。
◆「北海道・三陸沖後発地震注意情報」に気をつけよう
巨大地震が発生する前にマグニチュード7クラスの一回り小さな地震が起きるケースが知られています。東日本大震災でも3・11の2日前にM7.3の地震が起きていました。
こうしたことから、M7クラスの地震が想定されている震源域の周辺で起きた場合、内閣府と気象庁はその後に起きるかもしれない巨大地震に注意を呼び掛ける「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表することになっています。
世界の過去の事例ではM7クラスの地震が起きた場合、100回に1回程度M8クラス以上の巨大地震が数日の間に起きています。したがって、この注意情報が出たからといって必ず巨大地震が起きるわけではありませんので、被害が想定される地域の人たちがあらかじめ避難するといった対応は求められていません。
しかし普段よりも巨大地震発生の確率が上がっているので、地震への備えは大丈夫なのかもう一度点検しておくことが重要です。特に津波の危険地域にお住まいの方は、もしも大きな揺れが起きたらすぐに津波から避難できる準備をしておくことが命を守ることにつながります。
注意情報が出ても1週間何も起きなければ、内閣府が今後も地震発生に注意しながら通常の生活を送るように国民に呼びかけることになっています。
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