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地震と火災

地震のときは火災にも気をつけよう

大雪揺れの後に火災が!

阪神・淡路大震災のときは、地震の後に合計285件の火災が発生。木造住宅が密集していた神戸市・長田区を中心に、全体で7,036棟もの建物が焼失しました。 

火災のうち7割は地震発生当日に火が出たもので、倒壊家屋の下敷きになり、逃げられないまま火災に巻き込まれた人もいました。 

さらに、地震のときの火災被害が甚大だったのが関東大震災です。 

木造住宅が密集していた当時の東京市などで火災が発生、日本海沿岸の台風に向かう強風が関東地方に吹き込み、火災が広い範囲に燃え移っていきました。 

全壊が約10万9,000棟、全焼が約21万2,000棟。10万5,000人以上が犠牲となりました。  

 

津波でも火災が発生

東日本大震災では、津波で流出したタンクから漏れた油が発火したり、プロパンガスのボンベから噴出したガスが発火したりしてガレキなどに燃え移り炎上しながら海面を漂い、沿岸部に押し寄せて、地域を燃えつくす大規模火災も起きました。 

また、車のバッテリーが海水につかることで火災が発生したことも報告されています。 

(炎上した小学校:宮城・石巻市)

(津波後に地域が炎上:宮城・気仙沼市鹿折地区) 

 

かつては台所などの火が原因、今や電気火災に  

地震が起きると、震度6や震度7といった揺れの大きかった地域では火災が多く発生します。 

かつては調理中に地震が発生したことによって、火が周囲に移るなどして発火するなど、既に使用していた火が原因での火事が多く発生していました。 

その後は対策が進んで、ガスの場合は各家庭にマイコンメーターが設置され、地震発生と同時にガスがストップするようになりました。 

今では地震後の火災の多くが電化製品の破損または誤作動が原因で起きています。 

参考: 

マイコンメーターの復帰方法はこちらから(日本ガスメーター工業会HP) 

都市ガス…https://www.jgia.gr.jp/riyo/toshi/miconmetercity_reset/ 

LPガス…https://www.jgia.gr.jp/riyo/lp/miconmeterlp_reset/ 

 

怖い通電火災 

震災後に電気が再開されたときに、避難中の留守宅などで火災が発生する「通電火災」には注意が必要です。 

通電火災とは、被災した家屋などに電気が復帰した際に、電線がショートするなどして火事が起きるものです。 

通電火災を防ぐためには、地震後に避難するときに電気ブレーカーをおろしておくことが大切です。 

電気が復帰する際には、自宅にいて電気器具に正常に電気が通っているか、一つ一つ確認するようにしましょう。 

また、建物が倒れると電線がショートするなどして火災が発生します。 

各家庭で、地震時に揺れを感知して電気が自動で切れるブレーカーを設置するなどの対策も重要です。 

 

木密(もくみつ)地域は危険がいっぱい  

 木密地域とは 

「木造住宅密集地域」といって、木造住宅が密集して建っている市街地のことを木密地域といいます。 

戦後に道路や公園などの整備が不十分なままとなってしまっている地域で、老朽化して耐震基準を満たしていない木造住宅が多くなっています。 

地震時には、これらの建物が倒壊して道路をふさぎ、消防車などの緊急車両が通れなくなるだけでなく、物流もストップしてしまいます。 

そして、火災は倒壊した家屋を中心に燃え広がり、同時多発的で大規模な市街地火災が発生するおそれがあります。 

そうなってしまうと消防車の数が足りないだけでなく、道路も通れないなど、消火活動も機能しないまま被害が拡大していくことが懸念されています。 

 

木密地域はどこにある 

木密地域は、東京都や大阪府など全国の都市部に存在しています。 

東京には、山手線外周部を中心に木密地域が広範に分布しています。(図参照:東京都HPから) 

各地でどこが木密地域なのかは、地元の自治体に問い合わせてください。 

耐震化が大切 

木密地域の対策は、道路を整備することや、公園などの広い場所を作っておくことが重要ですが、なかなか進んでいないのが現状です。 

そこで大切なのが、老朽化した建物の耐震化改修工事です。 

木密地域でも、建物が倒壊しなければ被害はかなり軽減できます。 

東京都や各区などの自治体は、老朽化した建物の耐震化改修や建物の撤去工事などにいろいろな補助金制度を設けているほか、固定資産税の減免なども行っているので、木密地域に住む人は自治体に問い合わせてみましょう。 

 

「避難場所」や「広域避難場所」に逃げよう…  

いざ地震発生!火災も起きたら 

 ◆地震で火が出たら、まずは常備してある消火器で初期消火を行う 

 ◆「火事だ!」と大声で叫んで近所の人たちに知らせる 

 ◆消火器は数本あれば火を消せる場合もあるので、近所の人と協力して消火する 

 ◆初期消火で火を消すことができなかったら、逃げることを最優先する 

 

火災から逃れるためには 

地震などによる火災が延焼拡大して、地域全体が危険になったときに避難する場所を、自治体が「避難場所」や「広域避難場所」として指定しています。

(自治体によって名称が異なっていますが、基本的には同じように避難する場所です) 

オープン・スペースとして大規模な広場が必要なため、公園や団地・大学などが指定されているケースが多くなっています。 

延焼火災が鎮火するまで一時的に待機する場所なので、原則、建物の中を使用することはできません。 

地元の自治体がどこを指定しているのか、今のうちにチェックしておきましょう。 

ただし、災害時にはどのように火災が広がっていくのかは、そのときの風などの天候によっても変わってきますし、同じ場所に避難しようとする人が多すぎる場合も想定されます。 

実際に避難する際には、正確な情報の収集に努めて、近くの公園や空地などに避難することも含め、柔軟に避難しましょう。 

 

地震後の火災で避難する場合の注意点

 ◆火災の延焼速度は人の歩くスピードより遅いので、慌てず落ち着いて避難する 

 ◆火災の発生場所、風の強さや向きから避難方向を考える 

 ◆避難はできるだけ幅の広い道路を使って避難する 

 ◆原則として徒歩で避難する 

 ◆周囲の人にも声をかけて、一緒に避難するように呼びかける 

 

避難のタイミングは 

地震のときに火災が広がっていくスピードは時速200~300mくらいで、津波による火災を除けばそんなには早くありません。 

しかし、避難ルートに人が集まり混雑したり、途中で壊れた家が道をふさいでいたり、橋が壊れていたりするかもしれません。

最悪の事態も考慮して、早めの避難が大切です。 

また、どこで火災が起き、どの方向に延焼しているのかなどをしっかり把握することができず、自分が置かれた状況がつかみにくいことが想定されます。 

自治体からの緊急メールや、防災アプリなどを活用して正確な情報収集に努め、逃げ出すタイミングや避難ルートを早めに決めるようにしましょう。 

また、火の手や煙が、まだ遠いと感じた場合でも、火の粉が風に乗って離れた場所にきて、急に燃え広がることもあります。 

火災現場を見に行くと火に囲まれるおそれがあるので、絶対に行ってはいけません。 

火災は、早めの避難で、確実に命を守ることができます。 

地震のときに火災が発生していることがわかったら、とにかく早く避難するようにしてください。

 

恐ろしい火災旋風  

大規模な市街地火災が発生したときに、恐ろしいのが火災旋風です。 

火災旋風とは、火災時に火災域やその周辺で発生する竜巻状の渦のことをいいます。 

火柱状の渦もあれば、炎を含まない渦の柱もあります。 

火災旋風の猛烈な風は、人やものを吹き飛ばして死傷者を出し、火の粉を広範囲に飛ばして、急速に延焼を拡大させます。 

関東大震災では複数の火災旋風が発生していて、最も被害が大きかったのは、墨田区の「被服廠跡(ひふくしょう)」と呼ばれていた66,000㎡の工場跡です。 

ここに避難していた4万人のうち3万8,000人の人々が亡くなりました。 

火災旋風が起きる要因としては 

 ◆火災で発生した大量の熱気が上昇し、冷気と混じり合うこと 

 ◆風の走りを助長する滑らかな面、例えば水面や広場が存在すること 

 ◆適当な風速があること  

火災旋風の実験:水平方向に風速が変化する横風の中に置かれた複数の火炎から火災旋風が発生している 

消防庁消防大学校消防研究センターHPから) 

 

「首都直下地震」の場合はどうなる? 

東京都の想定では、仮に東京湾の北部で地震が発生した場合、811件もの火災が発生します。(平成24年4月18日公表) 

これに対して、東京消防庁が保有する消防車両等は1,995台。(平成31年4月1日現在) 

地震が発生した場合は、倒壊した家屋での救助活動もしないといけません。 

さらに、道路は倒壊した家屋などでふさがれて通行できない場所も多いです。

そんな中、すべての火災を消火できる体制ではありません。 

このため、冬の午後6時で、風速が8m/sのときにこの地震が発生した場合、都内で201,249棟もの建物が焼失してしまう想定となっています。

東京都HPから)

 

地震時の火災は燃え広がる可能性が高い 

そもそも、全国の消防は、管轄エリアで1件の火災が発生した場合に消火することができるように体制が整備されています。 

地震発生で同時に多数の火災が発生した場合、近隣の消防が駆けつけることができなければ、すべての火災を消すことができないのが現状です。 

ただし、火災の多くは最初のごく小さな火の段階で消すことができれば延焼を防ぐことができるので、近隣住民による初期消火がとても重要になります。 

初期消火が難しい場合は、早めの避難が大切です。 

 

地震時の火災は予防が一番の対策 

地震の揺れで家屋が倒壊したり大きな損傷を受けたりしなければ、火災の発生はかなり抑えることができます。 

地震時の火災には、家屋の耐震化を進め、燃えにくい素材を使用するなどして、延焼しにくい家屋の整備を進めることが最も大切です。 

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