第1話
2006年7月8日放送
簡単な計算すら出来ず、香港マフィアとの交渉を決裂させてしまった関東鋭牙会・若頭の榊真喜男、27歳。本当なら真喜男は、父親で組長の喜一(市村正親)の後を継ぎ三代目となる予定だった。だが、今回の一件を含めた失敗のせいで、危機感を募らせた父・喜一は、真喜男に「来年までに高校を卒業すること」と命じ、卒業できなければ弟の美喜男(黄川田将也)に組を継がせる、と宣言した。
中学さえろくに行かず、子供の頃からケンカとカツアゲに明け暮れていた真喜男だったが、筆頭舎弟の黒井照之(大杉漣)や若い舎弟の真鍋和弥(田中聖)に励まされ、私立セント・アグネス学園3年A組に転入を決意した。
かくして、27歳なのに17歳と嘘をつき、正体を隠して高校3年生となった真喜男。10歳も年下の生徒たちとの学園生活を始めることになった。
真喜男の席は、クラス内でポツンと孤立している桜小路順(手越祐也)と、順と梅村ひかり(新垣結衣)の隣。さっそく授業が始まり教科書を開いた真喜男は、まったく内容がわからず呆然としてしまう。
しかも、休み時間に真喜男は生徒の星野(若葉竜也)らにカツアゲされて詰め寄られる。だが、正体がバレるためケンカを禁じられていた真喜男は、星野に逆らうことができない。
結局、組の若頭にもかかわらず、生まれて初めてカツアゲされる立場になってしまった。
さらに、出席回数が増えるに従って、真喜男の学力がA組に知れ渡る。担任の南百合子(香椎由宇)も戸惑ってしまう。「あいつ、相当バカじゃねぇ?」クラスメートの心無い言葉にさらされてメゲてゆくばかり。順は落ち込む真喜男を懸命に元気付けようとするが、真喜男は学校のすべてが面白くない。
こんなにみじめな思いをして、どうして卒業しなければならないのか?
真喜男の我慢は限界に近づいていたのだった。
そしてある日、ついに学園生活を続けることに耐えられなくなった真喜男は、思わず教室飛び出してしまう――
第2話
2006年7月15日放送
真喜男(長瀬智也)のクラスで新たに学級委員を選ぶことになった。真喜男は、学級委員は「組(クラス)」の「長(おさ)」と聞いて「組長」を想像。思わず立候補し、念願(?)の学級委員=「組長」となったのだった。
そんな真喜男の学級委員としての初仕事は、クラス対抗球技大会の選手決め。A組はやる気がないのでみんな非協力的でちっとも選手が決まらない。
その上、毎日黒板掃除、クラスメイトの様々な文句のはけ口、さらにはウサギ小屋の掃除……と雑務に追われる日々。担任の百合子(香椎由宇)との交換日記も書けずにいた真喜男は、「あなたに学級委員ができるの?」と、百合子に言われてしまう始末。
しかし、それでもめげない真喜男は「学級委員の自分がクラスをまとめなければ!」と、クラスメイトを練習に誘う。だが、どうせ負けるに決まってる、むしろ負けたほうが面倒くさくなくていい、とまで言うクラスメイトたちじゃ誰も練習をしようとしない。
一方、バスケットボールチームを組むことになった真喜男、ひかり(新垣結衣)、順(手越祐也)の3人は、早紀(村川絵梨)や雪乃(佐藤千亜妃)を引き止めて放課後に練習することにした。
ところが「俺の体はどっから敵が来ても瞬時に殴り飛ばすように出来ちまってる」と言う真喜男は、パスもろくに受け取れず、投げる球も力任せで、まるで練習にならない。さらに運動神経が鈍い雪乃。「恥をかきたくない」と言って練習の輪から消えてしまう。「みんなでやる意味ないじゃん」と、早紀も帰ってしまうのだった。
あっさりと空中分解してしまう真喜男のチーム。舎弟からも慕われていて誰よりも強い自信があった過去とは違って、今は何もかもうまくいかず、自信をなくしてしまう真喜男。ついには、みんなの前で「俺は、やっぱ、もう、無理です」と弱音を吐くが――
第3話
2006年7月22日放送
真喜男(長瀬智也)にとっての最大の試練が訪れた。それは、期末テスト。「赤点をとったら追試、追試でも不合格なら落第!」と百合子(香椎由宇)。数学の方程式は暗号、英語は呪文にしか聞こえないだという真喜男は、確実に落第すると予感。このままじゃ卒業も危ない!落ち込む真喜男のもとに、敵対する熊田一家が関東鋭牙会のシマをうろついている、との情報が入る。だが、目の前の「期末テスト」を倒すことの方が先決だった。
真喜男は、「冗談じゃねぇ。なんとかテストをクリアして、卒業しなければ組長になれない!」とばかりに勉強しようとするが、相変わらずさっぱり理解できない。仕方ないのでテストを盗もうと企んだり教師を買収しようとするが、全て失敗に終わる。ついにボイコットしたいと言い出してしまう真喜男。一方、順(手越祐也)はそんな真喜男に努力せずに逃げてるだけだ、と、大批判。二人の仲が悪くなってしまった。
そうこうするうちにテストの日がやってきてしまい、問題用紙を見ても鉛筆を転がす程度しか出来ない。案の定、結果は学年最下位。またもや真喜男は生徒たちからバカにされてしまう。
かくして「期末テスト」に打ちのめされた真喜男は、すっかり頑張る気力をなくす。その上、百合子にも「あなたはバカということを理由に甘えているだけよ」容赦なく言われる。思わず「追試は受けない!」と言い出す真喜男だったが、その姿を見た梅村ひかり(新垣結衣)が、なんとか落ち込む真喜男を励まそうと、水島(もたいまさこ)のいる保健室へ誘うが――。
第4話
2006年7月29日放送
夏休みに入った真喜男(長瀬智也)だったが、通知表は1や2ばかりで、喜一(市村正親)は真喜男の高校卒業を不安に感じる。しかも、留学していた美喜男(黄川田将也)も帰国。真喜男は三代目の座が危うい!と改めて感じ、百合子(香椎由宇)の個人補習に懸命に頑張り、補習が終わる頃には、真喜男は「知ること」に興味を持つようになっていた。
だが、真喜男には他にも気になっていることがあった。少し前から、ひかり(新垣結衣)のことを思い出したりすると“胸の中で小人が騒ぎ出す”ようになっていたのだ。そんな、わけのわからない胸の痛みに苦しむ真喜男。
そんな中、「受験対策強化講習」が開かれることになり、ひかりに会いたくて参加することにした真喜男。来るはずがない真喜男の登校に、順(手越祐也)やひかり、百合子らは驚くばかり。真喜男には難しくてチンプンカンプンな、ハイレベルの講習だったが、真喜男は「知ること」が楽しくてたまらない。
そんな講習が続いたある日、学校に行く途中で雨が降り始める。帰ろうとした真喜男に、ひかりが相合傘で行こうと声をかける。真喜男の胸では、またも“小人”が騒ぎだすのだが、女に関しては百戦錬磨の自分が小娘に動揺するわけがない、と思う真喜男だった。しかし、“うれしはずかしの痛み”もまた、間違いないものだった。
いよいよ強化講習最終日。打ち上げを兼ねた肝だめしで、真喜男はひかりとペアを組むことになる。そんなとき、水島(もたいまさこ)から、胸で騒ぐ“小人”の恐ろしい正体を聞いた真喜男は――。
第5話
2006年8月5日放送
ひかり(新垣結衣)を置き去りにして肝だめしの会場から逃げ出してしまった真喜男(長瀬智也)は、百合子(香椎由宇)からひかりが怒っていると聞いて、なんとか謝ろうとする。だが、ひかりは真喜男を完全に無視。クラスメイトも「男として最悪」と陰口を叩く始末。
そんな中、親を含めた三者面談が開かれると知った真喜男。どこから見てもマフィアな喜一(市村正親)が学校に来たら面倒くさいことになる、と確信した真喜男は、こっそり黒井(大杉漣)が代わりに来るようにと命令する。そんな様子を見た弟の美喜男(黄川田将也)に、無理して高校に通うのは可哀想だと諭され、あれこれケチをつけられる。ひかりとの仲直りも上手くできていない真喜男はますます面白くない。
学校でも家でも、みんなからあれこれ言われることに我慢できなくなった真喜男は、ついに爆発。反抗期の高校生のようにグレてしまう。が、そんな真喜男を見た星野(若葉竜也)に同情され、「悪い遊び」を教えてもらう仲に。
しかも、熊田一家にシマを奪われてしまうという事態まで発生。すべては自分が学校なんかに通って小娘にウツツを抜かしていたからだ!と思った真喜男は何もかもがバカらしくなり、3日も学校を無断欠席してしまう。
そして迎えた三者面談当日。真喜男は完全にやる気をなくし、一人で街をさまよっていたが、そこへ順(手越祐也)がやってきて――
第6話
2006年8月12日放送
組の幹部会で真喜男(長瀬智也)は、重要な作戦から外される。
そのうえ父の喜一(市村正親)に、今後は組の仕事に一切手を出すな。学業だけに専念しろ! と言われてすっかり絶望してしまう。
黒井(大杉漣)は、真喜男に青春を楽しんでもらいたい喜一の親心だと言うが、真喜男は、青春の意味もよくわからないし、そもそも喜一は本当に自分をボスにする気があるんだろうか?と考え始める。
学校に行っても、順(手越祐也)たちクラスメイトは受験一色で、真喜男が楽しむべき青春=愛や友情や仲間などに熱くなっているとは思えなかった。
そんな中、アグネス学園の生徒たちの息抜きであり楽しみであったアグネスプリンが突然発売中止になる。学園中の生徒たちは次第にストレスが溜まっていき、真喜男もまた行き場のない不安だけが、ただ募っていった。
だが、順とお茶を飲みに行った保健室で、水島(もたいまさこ)から励まされ、青春の楽しみ方を教えてもらった真喜男は、次第に自分のやる気が上がっていくのを感じていた。
そんなとき、和弥から星野(若葉竜也)たちが悪そうなヤツらに絡まれていると聞いた真喜男。
助けに行こうとする真喜男だったが、今の姿のままでは正体がバレてしまう、と、黒井からたしなめられる。そこで、ある「秘策」をつかうことを決心した真喜男だったが――
第7話
2006年8月19日放送
真喜男(長瀬智也)は、ひかり(新垣結衣)が平成生まれの17歳で、手を出せば条例違反で逮捕!という話を聞く。だが、真喜男の思いは、そばにいたい、守ってやりたい、笑顔が見たい、という純愛そのもので「デートくらいはいいんじゃないですか?」という組の舎弟たちも励ましもあって、真喜男はひかりを誘うことを決心。
星野(若葉竜也)たちから、アグネス学園にはカップルしか通ることのできない定番のデートコース「アグネスロード」があると聞いた真喜男。早紀(村川絵梨)の後押しもあって、ひかりと真喜男は晴れて2人で一緒に帰る約束をする。
順(手越祐也)、早紀、和弥(田中聖)こっそり見守られてアグネスロードを通り、順調に「学校帰りデート」をする真喜男とひかり。しかし、ひかりは5人姉弟の一番上で、仕事で忙しい両親の代わりに家事をすべて引き受け、家計を助けるためにバイトをしていた。早く家に帰らなければならないひかりは、真喜男を自分の家に誘った。ひかりの家で小さな弟妹たちと一緒に夕食を食べる真喜男。とても暖かく幸せな一時を味わったのだった。
しかし、そこで衝撃の事実を知ってしまう。ひかりが今のような暮らしをしているのは、子どもの頃、父親の会社が倒産してヤクザ風の男たちに酷い目に遭わされたからだという。暴力は嫌い、軽蔑するというひかり。真喜男は、自分自身の「ヤクザ」という存在が、大好きなひかりを苦しめていたことを知り、大きなショックを受ける――
第8話
2006年9月2日放送
もうじき文化祭が始まる。クラスの出し物を考えてる真喜男(長瀬智也)は、何をやるのかクラスメイトに相談をもちかけるのだが、受験間近ということもあって、みんな非協力的。そこで、百合子(香椎由宇)は、勉強も大事だけどクラスみんなで頑張ろう!と真喜男をサポート。真喜男の思いつきで3年A組は全員でビッグバンドを組んで演奏することにする。
そんな中、真喜男はひかり(新垣結衣)に「やっぱり付き合えない」ということを告白する。ショックを隠せないひかりだったが、受験も終わったことだし、文化祭では一緒に頑張ってクラスを盛り上げよう、と、健気にも真喜男にエールを送る。そんなふたりのやり取りを見ていた順(手越祐也)と早紀(村川絵梨)。順は、傷心のひかりを気遣って言葉をかける。真喜男はひかりのことが好きなのに、ひかりの気持ちに応えられない秘密を持っていて、仕方がなかったんじゃないか、と。
真喜男は文化祭に向けてひたむきに努力していた。そんな真喜男の姿に、やる気ゼロだったクラスメイトたちもそれぞれ自分たちの得意な楽器を持って集まり始めた。いつしか、諏訪部(広田雅裕)以外の全員が集まって練習するようになる。
百合子から「クラス27人で1つの音を作りだすの」とアドバイスをもらった生徒たちは、毎日毎日練習を続けて次第にまとまってきたが、1人だけ足りないことがどうしてもひっかかる真喜男は強引な方法でクラスをまとめることを思いつく――
第9話
2006年9月9日放送
喜一(市村正親)が北極会のヒットマンに狙撃されて混乱する中、真喜男(長瀬智也)派と、弟の美喜男(黄川田将也)派に別れた組員たちの対立が激化。このままでは北極会にますますつけ入られる、と、美喜男が跡目を決める“選挙”をすることを提案。大規模な選挙戦がスタート。1ヵ月後の2月14日に行われることになった。
だが、学校史上かつてなく悪い成績の真喜男は、選挙と同じ2月14日に卒業試験を受け、合格しなければ卒業できないと言い渡される。そのうえ星野(若葉竜也)が「ミスター3年A組を決める!」と言い出し、またまた2月14日に、バレンタインのチョコの数をかけて勝負することになってしまう。
こうして3つの決戦が2月14日に集中した真喜男は、全部まとめて闘ってやろうじゃねえか!と熱く燃えるのだった。
ところが、真喜男はここしばらく高校生活に専念。今も卒業試験の勉強に必死になっている。すっかり『高校生らしく』なった真喜男だったが関東鋭牙会の組員たちには評判がガタ落ち。その上、選挙の中間集計で組員の大多数が美喜男を支持していることが発覚。圧倒的有利になった美喜男は「これをきっかけにカタギになったら?」と真喜男に揺さぶりをかけはじめた。
カタギになれば、今の穏やかで優しい生活も続き、ひかり(新垣結衣)との恋もちゃんと出来るかもしれない。だが実際は自分はヤクザでみんなをだましていて、そんなムシの良い自分の夢がかなうわけない、何より、俺はボスになりたいんだ――と、さまざまな思いが押し寄せ、ひとり悩む真喜男だった。
そして運命の2月14日がやってきた。まずは卒業試験との戦いが、始まる――
第10話(最終回)
2006年9月16日放送(90分スペシャル)