古今東西の権力者たちが愛した美術品が並ぶ今回のボストン美術館展で、異彩を放つ作品がある。60カラットの巨大なエメラルドのブローチだ。
これは、アメリカで最も成功した女性と呼ばれるマージョリー・メリウェザー・ポスト(1887-1973)が所有していたもの。アクセサリーというよりは、彫刻作品といったほうが近いかもしれない。 ポストは、アメリカで初めてシリアルを販売した「ポストシリアルズ」の経営者だった父から莫大な遺産を相続し、さらに会社を発展させ億万長者になった女性実業家だ。フロリダにあるトランプ前大統領所有の別荘「マー・ア・ラゴ」を建てた人物としても知られている。
そんな彼女は、古代から「叡智の宝石」として知られるエメラルドをこよなく愛した。クレオパトラから皇帝ネロまでを魅了した富と権力の象徴であり、中世には、未来を予言する力がある石と信じられていたそうだ。
スペシャル
《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》(部分)
鎌倉時代、13世紀後半
Fenollosa-Weld Collection
鎌倉時代、13世紀後半
Fenollosa-Weld Collection