Special スペシャル
魅惑のベルギー、ブリューゲル紀行
2、ブリューゲルの版画を訪ねて

数多く所蔵するベルギー王立図書館
©神戸シュン/NTV
1554年頃、イタリアからアントウェルペンに帰ったピーテル1世は、画家としてのキャリアを版画の下絵制作からスタートさせました。彼に仕事を依頼したのは、国際的な版画出版業者ヒエロニムス・コック(1517・18-70)。まずピーテル1世の雄大な風景版画を世に送り出した彼は、悪魔や怪物が躍動する作品で知られたヒエロニムス・ボス(1450頃-1516)風の幻想的な絵を描かせます。それによりピーテル1世は「第2のボス」と言われるほどに名声を高め、画家としての人気を不動のものとしました。

右:ピーテル1世が実際に描いた《邪淫》の原画(部分)。 ベルギー王立図書館
ピーテルの原画では、左中央の男の帽子が、司教のかぶる帽子であるのに、摺られて反転した版画では、普通の帽子になっている。
教会への諷刺が効きすぎと考えて、版元のコックが自主規制した?
※≪邪淫≫は本展に出展されません
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遺族により大切に守られてきた印刷工房
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『多言語対訳聖書』や『全ネーデルラント地誌』など歴史的に重要な出版物ほか、約1500点もの書籍を出版したというプランタンは、当時のヨーロッパ最大の出版事業者として、西洋文化の発展に大きく貢献した人物です。

本が人類の「知」そのものであったことをあらためて感じさせる
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■木谷節子 プロフィール
アートライター。現在「婦人公論」「SODA」などの雑誌やアートムックなどで美術情報を執筆。近年は、絵画講座の講師としても活動中。
アートライター。現在「婦人公論」「SODA」などの雑誌やアートムックなどで美術情報を執筆。近年は、絵画講座の講師としても活動中。