Special スペシャル
魅惑のベルギー、ブリューゲル紀行
3、農民画家ブリューゲルの見た風景
アントウェルペン時代、雄大な風景やボス風の幻想世界、また風俗や寓意を描いた作品で人気を博したピーテル・ブリューゲル1世は、1563年の結婚を機に、ブリュッセルへと居を移しました。

©神戸シュン/NTV
人生の最後の6年となるこの時代、彼の重要なテーマとなったのが、農民たちの労働や祝祭、遊びなどを描いた「農民画」です。文化的エリートでありながら、生き生きと生活する農民たちに共感していたブリューゲルは、近郊の農村に出かけては農民たちと飲食を共にし、祭や婚礼などにも参加しました。その道すがら彼が眺めたであろう風景が、ブリュッセル南西の田園地帯「パヨッテンラント」に広がっています。この地域には、ブリューゲルの農民画に登場するような納屋や水車などが今も点在しており、それらはブリューゲル野外美術館、通称「ブリューゲル街道」として整備されています。

右:代表作《絞首台の上のカササギ》に描かれたとされる水車
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■木谷節子 プロフィール
アートライター。現在「婦人公論」「SODA」などの雑誌やアートムックなどで美術情報を執筆。近年は、絵画講座の講師としても活動中。
アートライター。現在「婦人公論」「SODA」などの雑誌やアートムックなどで美術情報を執筆。近年は、絵画講座の講師としても活動中。