《野外での婚礼の踊り》ピーテル・ブリューゲル2世 1610年頃 Private Collection

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魅惑のベルギー、ブリューゲル紀行

ブリューゲル展、開幕

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ブリューゲル一族が描いた冬景色のように、東京に雪が降り積もった2018年1月22日。「ブリューゲル展」の内覧会が開催されました。さっそく展覧会レポートとまいりましょう!
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ピーテル・ブリューゲル1世以来、150年にわたるブリューゲル一族の歴史を紹介する本展では、彼らが生み育てた絵画のジャンルを、「冬の風景」「農民たちの踊り」といった7つの章だてで紹介しています。当日会場で解説をされた本展監修者のセルジオ・ガッディ氏によると、ピーテル1世の功績は、自然=風景に目を向けたこと、冬景色を発見したこと、人生を楽しむ農民の生活を絵に描いたことなどがあげられるそう。
たとえばピーテル1世が描いた《スケートをする人たちと鳥罠のある冬景色》は、世界に100点もの模倣作がある人気作品ですが、ネーデルラントの人々にとって冬の景色は、日本人にとっての富士山と同じぐらい象徴的な風景なのだとか。宗教画一辺倒だった16世紀に、彼らの心の風景である冬景色を発見し、代々描き続けたブリューゲル一族が、人々の支持を集めたのは当然のことだったのです。
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本展ではこの人気作を、ピーテル2世の描いた《鳥罠》で紹介中。同フロアでは、本作を含めた重要作品のポイントを、大きなデジタル画像で見ることができます。
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このように各フロアそれぞれに楽しみ方はありますが、圧巻は2階展示室。ヤン1世以来一族の伝統となった花の静物画がズラリと並び、とても華やかな雰囲気です。またヤン・ファン・ケッセル1世が大理石に描いた昆虫たちには、その徹底した観察眼に驚きと新しさを覚えることでしょう。
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そして農民たちが実際に踊っているデジタルコンテンツとともに観る、ピーテル2世の《野外での婚礼の踊り》も感動的。父親の世界観をしっかりと受け継いだ息子の心意気に、親子の絆を感じました。
この2階展示室は2月18日(日)まで期間限定で撮影可能。ぜひインスタ映えする画像を皆さんで共有してください。また「細密画」を得意としたブリューゲル一族の作品は、デッサンを含めて小さな絵が多いので、単眼鏡などで細部を見るのもおススメです。
■木谷節子 プロフィール
アートライター。現在「婦人公論」「SODA」などの雑誌やアートムックなどで美術情報を執筆。近年は、絵画講座の講師としても活動中。
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