食材ノート

春よ恋

国産小麦の6割を誇る北海道で、通常の【秋蒔き】と違い、【春蒔き】で栽培されている品種。
うどん用などの中力粉が多い国産小麦のなかで、数少ない強力粉である。
国産高級小麦の【ハルユタカ】より改良されて作られた品種で、国産小麦らしい味わいと、もちもちとした食感を備えているのが特徴。
たんぱく含有量も多く、主にパン・ラーメン・ピザ等に使用されている。

小麦の春まき栽培

通常の小麦は、秋に種をまき、冬を越して、夏に収穫する。
一方、「春よ恋」をはじめとする、春まき小麦は、4~5月の春に種をまき、9月の秋頃に収穫する。その栽培期間は、わずか4か月である。
しかし、元来、小麦は水に弱いため、雨期がある地域での栽培は難しい。
現在は、オホーツク海高気圧の影響で雨期のない、北海道の限られた地域でしか栽培されていない。
中でも、斜里郡小清水町は、最も降水量の少ない地域のひとつであり、さらに、水はけの良い土壌も合わさって、日本一の生産量を誇っている。

小麦づくり開始!

1.畑づくり

「春よ恋」を育てるのに選んだ場所は、福島県南部にある西白河郡の山あいの畑。
火山性土で水はけが良く、小麦の栽培に適していた。
まず、雑草を刈って粉砕し、牛糞を撒いて土に栄養を与え、土を掘り起こして混ぜる。
さらに、ロータリーで平らに土をならして整地。こうして、縦50m横25mの畑を甦らせた。

2.種蒔き

畑を蘇らせた後は、いよいよ「春よ恋」の種を蒔く。
クワで2~3cmの深さで掘って溝を作り、そこに種を蒔いていく。
「春よ恋」は、植える場所が浅いと太陽の熱で焼けて芽が出なくなり、逆に深いと土の湿気で腐りやすくなるため、均等な深さにしなくていけない。
こうして蒔いた種は、一週間後には芽を出し、今も元気に成長中!

3.麦踏み

種蒔きから1か月。「春よ恋」は30cmにまで生長が、茎が細く、弱々しい。
このままでは、台風や集中豪雨で倒れてしまう恐れが。
そこで、かつてDASH村で明雄さんから教わった麦踏み。
葉や茎に力を加えることで、植物本来の生命力が増し、より丈夫に育つ。
麦踏みから1週間後には、「春よ恋」は、力強く立ち上がった。

4.除草と害虫駆除

春に種蒔きした「春よ恋」は、夏を迎え、50cmの高さまで生長。
「春よ恋」のための栄養を奪ってしまう雑草を刈り取り、除草を行った。
さらに、今年、日本中で猛威をふるっている毛虫「マイマイガ」を発見。
福島DASH村で作った「無農薬農薬」を使って、城島が駆除を行った。
「無農薬農薬」とは、ニンニク、ショウガ、唐辛子、ニラ、焼酎、茶殻、酢などを一緒に煮詰めて作る、人には無害だが、強烈な刺激臭のある、明雄さん直伝の農薬。

5.出穂・イノシシ対策

夏を迎え、ぐんぐんと生長を続ける最高級小麦『春よ恋』が出穂。
およそ10cmの穂に、30粒ほどの実がつきはじめたが、その実はまだ柔らかい。
実が固くなるまでは、あと1か月半ほどかかるとみられる。
そんな矢先、小麦を襲ったのがイノシシ。
そこで、イノシシ対策として、明雄さんから教えてもらったのが、田畑を囲う竹鳴子を設置。
畑を囲むように、イノシシ目線の40cmの高さにロープを設置し、揺れると音が鳴るように竹をぶら下げる。体にロープが絡みつく感覚とその音で、イノシシを追い払う。

6.台風11号

日本列島に甚大な被害をもたらした台風11号。
『春よ恋』を育てている福島県には、直撃することはなかったが、雨と風の影響で穂がなぎ倒されてしまった。穂の実が、まだ成熟していなかったため、急遽、穂を立てて固定し、風通しを良くし、日光に当てて成熟を促す。

7.赤カビ病発生

台風の影響で倒れてしまった穂が、畑の泥に浸かってしまったため、土の中に生息する赤カビ菌が穂に侵入してしまい、一部の小麦が赤カビ病になってしまった。
赤カビ病は、一度かかってしまうとどんな農薬も効果がない、不治の病とされ、カビ毒をもっているため、食用にすることができない。

8.収穫

赤カビ病になってしまったのは、幸いにも一部の小麦だけと判明。
そこで、残りの小麦を感染が広がってしまう前に刈り取る事に。
使用したのは、穀物を収穫・脱穀するのに使われる「コンバイン」。1時間足らずで120kgの小麦を収穫することができた。

9.乾燥

収穫し終えた小麦を製粉する為、ビニールハウス内で乾燥させる。
100℃の温風を出すことができるジェットヒーターを稼働させ、2日間乾燥させた。

10.選り分け作業(選別)

脱穀し終えた米などを選別する「唐箕(とうみ)」を使い、成熟した実、未成熟な実、ゴミなどえを選別。
「唐箕(とうみ)」は、風の力を使い、成熟して実が詰った重い実はそのまま下に落ち、未成熟で軽いものやゴミなどは、風に飛ばされる仕組み。

11.製粉~そして、小麦粉『春よ恋』完成!

選別し終えた成熟した実を石臼でひいて、いよいよ製粉!
ひいた後、ふるいにかけて、皮と粉に分けた。
ふいにかけた後、出てきたのは、真っ白い雪のようなサラサラとした小麦粉!
これが、福島の大地で育てた最高級小麦粉『春よ恋』!
いよいよ、この小麦粉を使って、麺づくりに挑む!!

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