村づくり実験 収穫できるか!?
全景

 

 国土地理院発行の日本地図にDASHの名前を載せられるか!?

秋深まるDASH村、3ヶ月に渡る畑づくりは実りの季節を迎え、ようやく収穫目前となった。そんなある日のこと…この日の朝は急激に冷え込み朝の気温は4℃。達也・太一・松岡が畑の様子を覗いてみると、3人はその光景に目を疑った…豊かに実っているハズの作物が、変わり果てていた!

「いんげん」の茎やつる、そのすべてが枯れていた! 10日前には小さな実を結び、大きな葉を広げて元気に巻きついていたのに…。そして「きゅうり」も完全にしおれていた。花が咲き終え、ようやく実がなるハズだった…。さらに、10日前は大きな花を開いていた「かぼちゃ」、しかし、すべてが実を結ぶ手前で息絶えてしまった。

畑に何が起こったのか? 収穫は夢と消えてしまうのか?

運命の一夜を生長記録用カメラが捕らえていた…かぼちゃときゅうり、花と葉は立派に育っていたが、次第にしぼみはじめ、朝を迎える頃には既に手遅れの状態だった。

 この夜、作物たちに何が起きたのか?

 原因は、急激にして強力な「早霜」だった。霜は「空が晴れて寒い夜」「風が弱い」「適度な湿度」という条件で明け方に降りる。空気中の水蒸気が小さな氷の粒となって地表を覆い、作物に付着して細胞を破壊する。 その運命の一夜は10月18日、微風の吹く秋晴れの日に訪れた。日が傾き、やがて澄んだ夜空になると…その翌朝、空はさらに晴れ渡り、畑は一面真っ白。この朝の最低気温は前日より4℃も下がり、例年より半月も早い初霜だった。

 気象予報士の木原さんによると、今年の秋は気温の変動が大きく、初霜が平年より半月も早く降りた所があったという。また、朝の気温が7℃くらいまで下がると紅葉がスタートすると言われているが、あまり急激に下がると、今度は葉っぱが枯れて落ちてしまうという。急激な気温低下による半月早い初霜…その現象がまさにDASH村に起きたのだった。

 さらに、畑の土にも原因があった。荒れて質の悪かった土を種のまける状態にはしたが、その後の生育に時間がかかったため、遅れた収穫時期と早い霜とがぶつかってしまったのだ。前回、畑に保温のための藁を敷いて霜対策は万全だったが、自然の脅威には勝てなかった…。枯れたいんげんを手に、可能性を探り改善策を練る達也・松岡・太一、しかし三瓶さんの返事は「もう遅い・・・」と厳しいものだった。

 畑は全滅か? だが、枯れた畝(うね)とは対照的に、まだ緑を保つ一角が…作物には寒さに強いものもある。「白菜」は枯れているどころか葉が立派に育っていた。外の葉っぱで中を守るように束ねた保温効果で、白菜は霜に負けず成長を続けた。そして、こちらも寒さに強い「大根」、葉っぱを霜で覆われても、土からの栄養をぐんぐんと吸い上げ力強く成長。さらに伸びて土から頭を出していた。三瓶さんが1本抜いてみると立派な大根に育っており、これにはメンバーも大感激! さらに生き残ったものはまだあった。厳しい霜に耐え、鮮やかな緑を失うことなく育っていた「にんじん」「ほうれん草」「春菊」。これらは収穫まであと1ヶ月ほど。

 さわやかな秋晴れのもと大根の収穫にとりかかる。抜いてみるまで大きさが分からない…その手ごたえにワクワクしながら、大きな大根を手にはしゃぐメンバー。中には期待に反した小さなものや、二股形状になった「股割れ大根」まで。全員一斉に抜いて大きさを競い、笑顔の絶えない収穫は1本1本かみ締めるように続く。そんな中、気になる一角が…そこは城島が種をこぼした畝。城島に代わって抜いてみると、育ってなかった! だが、三瓶さんが種類の違った丸い「聖護院大根」を見つけ、また新たな喜び! 続いて白菜、成長にばらつきがあるため、大きいものから収穫。その大きさと手ごたえに感激し、実の詰まった重さに喜ぶ!



作業開始から2時間、収穫はひとまず終了! その数占めて「大根238本」「白菜10玉」。そこで、みんなで収穫した作物を使って料理をすることに。

 DASH村産の大根、果たしてその出来栄えは? スタッフが持ち帰り、東京農業大学農学博士の富高弥一平先生に吟味していただくと、手にとるなり色も形も申し分ないと太鼓判を押してもらった! 続いて計量、重さ1.4kg(標準1.0〜1.5kg)、長さ45.3cm(標準40〜50cm)と立派な大きさでまたも太鼓判! 今度は洗って大根の側面にできた側根を調べる。DASH村産の大根は側根がほぼ直線上になっており、これは非常に良い状態だという。

 残るは肝心の味、料理の仕方も決まり、メンバーは家の庭先で調理にとりかかった。大根メニュー担当は「流れ板」こと松岡、見事な包丁さばきで大根の桂剥き。清は見様見真似で危なっかしい手つき…。そして薄く切った大根を生で味見すると、その甘さに達也と太一も感激! 大根は捨てるところなくすべて使いきる。千切りにした大根の皮を湧き水で洗い、そこに塩コショウをまぶし、マヨネーズを少量入れる。松岡の手際の良さに三瓶さんも見とれる。すると三瓶さんが自宅の畑から持ってきた唐辛子とショウガを分けてくれた。松岡は刻んだ大根の葉に唐辛子とショウガを加えごま油で炒める。続いて沸騰した鍋にぶつ切りにした大根を入れる。柔らかさと甘さを引き出す、流れ板お得意の「ふろふき大根」。

 一方、白菜の担当は達也、火を起こし、沸騰した鍋に白菜を豪快にぶち込む! すると、以前より育てていたシイタケを太一が持ってきた。これでダシをとることに。だが、次第に水気がなくなり白菜が焦げだした。そこに水を足してなおも煮詰める…何が出来るのか? そこへ、三瓶さんが自宅の畑から持ってきた三つ葉をわけてくれた。これも鍋に放り、とにかく茹で続ける。ここで太一が味見、味付けしていないスープをひと口飲むと、「水炊きの水!」と微妙な反応…。そこで急きょ味噌を加えた。続いて太一は刻んで余った白菜をビニールに入れ、塩を加えて即席の浅漬けを作る。



 こうして料理が完成! 達也作は無理に名付けた「白菜としいたけのまるごと煮」。太一作は「白菜の浅漬け」。松岡作は「大根の皮のサラダ」「大根葉のピリ辛炒め」、そしてメインディッシュの「ふろふき大根(ごま味噌だれ)」。縁側に腰をおろしてみんなでいただく。まずは松岡が達也の白菜煮をひと口…「美味しいよ」と、ダシも出て美味しく出来ていた! 続いて松岡の自信作ふろふき大根、ごま味噌ダレも手作り。甘みのある美味しさに三瓶さんもひと言…「旨い!」。みんなで自然の味覚を満喫し、八木橋も大根の葉を頬張り食欲旺盛!

 今回の畑づくり、多くの作物が枯れてしまったが、何よりの勉強にもなった。枯らした作物はやがて土に帰り、次の畑の肥やしとなる。 次の実りの季節へ向け、男たちの夢は続く…。

そしてDASH村の大根をスタジオでも試食! 大根づくしの料理に、収穫には居なかった城島・長瀬、そしてナオコさん・福沢アナも大満足!!

 DASH村は日ごとに冷え込み、秋も終わりの気配…もうすぐ紅葉が散り、はじめての「冬」を迎えようとしている。DASH村の冬はとても寒く、雪も降り積もるため、冬を越す準備と共に暖をとる手段も必要!

 そこで、DASH村の冬支度…次にとりかかるのは「炭」。木を原料とし、古くから燃料として使用されてきた炭は、今再び私たちに身近なものとなっている。「湿気を取る効果」「ご飯を美味しくする効果」「消臭効果」「水の浄化作用」など、燃料以外にも幅広く利用されている。こんなにも見直されている炭だが、自分たちの手で作れるということは意外に知られていない。

 冬に備えた炭づくり…自分たちの手で、この冬を乗り越えられるか?

 達也は三瓶さんの紹介で、近くに住むある人を訪ねた。庭先には藁で束ねた炭が置かれ、中から出てきたのは…炭焼き歴55年の達人・三瓶金光さん(70歳)。10代の頃から山で働き、自ら炭窯を作って炭を焼いてきた熟練の腕と知識! 達也が炭づくりの手ほどきをお願いすると、快く引き受けてくれた!

 早速、金光さんは山へと分け入り、達也・長瀬・清が後に続く。そして雑木林の一角で、金光さんはおもむろに土を掘りはじめた。探しているのは、炭窯づくりに必要な土。

「炭窯」…炭を作るには、まず炭窯を作らなければならない。この中で木を蒸し焼きの状態にして木炭が作られる。炭窯に欠かせない条件として「日当たり良い」「水はけが良い」「風通しが良い」「窯を作る土が良い」などが挙げられる。

 土を手にとる金光さんだが、黒くサラサラしており、これでは使いものにならないという。炭窯づくりの土は、粘土質の赤土に砂を適度に混ぜたものが良いという。この場所を諦め、金光さんはさらに奥へと進む。達也は既に方角を見失い、ついて行くだけで一苦労…。そして、金光さんが再び土を掘りはじめた。手にとると、色もよく固まりやすい。これなら使えると達人も納得!

 続いて、炭窯を作る場所探し。達人が長年の経験から選んだ場所は、小屋から200m離れた山道沿いの斜面。日当たり・水はけ・風通し、すべてを満たす最適な場所。炭窯づくりは、雑木林を切り開いて整地すると、そこに直径5mほどのスペースを掘って土で固め、その中にさらに小さな直径のスペースを掘り、また土で固める。中に炭となる木を入れて積み重ねる、その上を土でドーム状に覆って固めてようやく炭窯の完成に至るという難しい工程。

 最初の作業は「場所づくり」。木を伐採し、炭窯の場所をつくる。ノコギリを手に格闘する達也と長瀬。切った木は木炭にも薪にも使える大切な材料。そして達也が直径50cmの太い木に挑む。この木を倒さなければ窯は作れない。15分、20分と切り続け、ようやく木が傾きかけた。そして30分が過ぎ、木はゆっくりと傾き…そして豪快に倒れた!! こうして作業から3時間、炭窯のスペースができた!

 その頃、太一と清は木材を運ぶ道を作っていた。清が細い木を切り倒すと、なんと自分にふりかかった。細く短い木だから良かったものの、油断は禁物! そして太一も長い木に挑む。細い木ではあるが、豪快に倒れた。…が、切り方が悪く切り口が裂けてしまった。

 一方、炭窯づくりの次なる作業は「窯場の整地」。斜面の下から80cmの高さで水平に整地する。まずは土を掘りはじめるが、スコップが入らない?  雑木林特有の木の根、中は根っこだらけでスコップが入っていかないのだ。ヤケになった長瀬、スコップを刺し、全体重を乗せて掘り起こそうとしたら…スコップが折れてしまった!

 やがて冷たい雨が降り出し、日が傾いて作業から5時間が経過。午後6時をまわりこの日の作業はここまで。1日では到底終わらなかった。

 作業2日目、この日の工程は炭用の木となる「原木の切り出し」…切った木は乾燥させる期間が必要なため、早目に伐採しておく。達也と太一、そして金光さんは山へ入って炭に適した木を探す。

「ヤマザクラ」…バラ科サクラ属、全長10〜25m、主に観賞用。
「ホオノキ」…モクレン科モクレン属、全長20〜30m、主にまな板などに使われる。
「コナラ」…ブナ科コナラ属、全長15〜20m、これは炭に適している木。
「ミズナラ」…ブナ科コナラ属、全長35m、これも炭木に適している。


 炭用の木としては「ナラ」の他、「クヌギ」「カシ」が良く、中でもDASH村にはナラが多かった。金光さんいわく、炭用の木を切るには今の時期が最も適しているという。夏の木は生長が著しく、水分が多いため乾きにくい。よって冬の時期に切った木の方が良い炭となる。そして作業を開始し、太一がナラの木に挑戦。だが、木が太いため中々はかどらず、達也も交代で手伝う。するとそこへ、金光さんがチェーンソーを持ち出し、達也と太一「最初から出しましょうよ!」とすかさず突っ込む。

「チェーンソー」…ハスクバーナ254×PG(スウェーデン製)、排気量54cc、重量5.4kg、最高回転数13800rpm、燃料 混合油。大木の本場、北欧生まれのタフなチェーンソー!

 まずは金光さんのお手本、モーターがまわり勢い良く切りはじめた。太一は飛び散る木屑に手をやり、その凄まじさを体感! そしてわずか1分30秒で木が豪快に倒れ、興奮冷状態の達也と太一。

「正しい木の倒し方」…まずは倒したい方向にくさび状の切りこみを入れ、その反対側から切ると簡単で安全に倒れる。

 そして達也が挑戦! 金光さんの手ほどきを受け、まずは細い木を切り倒す。すると早くもコツを掴み、今度は太い木も切り倒した。続いて太一、持ち方も構え方も悪く、すぐに金光さんと交代…「俺には向いてない」と早くも断念。さらに作業は進み、今度は原木を運ぶため、木を細かく切らなければならない。ここで金光さんが取り出したのは、細い枝の「尺杖」…原木を均等に切るための杖(長さ 二尺五寸)。これを木にあてがって等間隔に切っていく。達也が引き続き伐採作業をし、太一が細かく切る。

 その頃、家では松岡と長瀬がもう1つの冬支度にとりかかっていた。今年8月、日本家屋修復の技で蘇らせることのできた家だが、戸はガラスが割れて壊れたままだった。ガラス戸担当は松岡、戸を外し割れたガラスを取り去ると、ガラスの代わりにベニヤ板で補修。だが、大きすぎてはまらない…。寸法を測るのが面倒なのか? およその感覚で板を切ってはめようとすると、今度は短く切りすぎた…。

 さらに城島が担当した土壁、2ヶ月経った今は隙間だらけ。乾燥して隙間が出来やすいのが土壁の特徴だが、補修が簡単なのも土壁の特徴。冬へ向け、これを長瀬が重ね塗りで補修。まずは外観の隙間を埋め、1つ目を終えて内側から確認してみると…隙間が埋まってない? 実は長瀬が補修していた部分は、隙間とは関係のない部分だった!

 一方、山ではようやく作業を終え、細かく切った木を運ぶ。そこへ金光さんが持ち出したのは(藁で作られた→カット)「背中あて」。これを体に縛りつけ、木を背中に担いで運ぶ昔ながらの方法。短い木3本で36kg! これを担いで運ぶ太一、自力で立ち上がれず…。そしてようやく歩き出すが、すぐに疲れてしゃがみ込む。しかし座るのにも一苦労…。

 こうして切り出し開始から6時間、炭用の木がすべて窯の場所へ集められた。切り出した木は7種類…最も多い「ナラ」をはじめ、「サクラ」「ホオノキ」「アカシデ」「イタヤカエデ」「マツ」「クリ」、それぞれどんな炭となるのか?

 次なる作業は、窯場の「土留め」…昨日整地した斜面が崩れてこないよう、支えの木で柵を立てる。まずは斜面の段差に等間隔で木を打ち込む。そしてこの木を柱に、柵となる木を横向きにはめていく。土留めは重要な基礎工事、これがしっかり出来ていないと炭窯が崩れてしまう。この日も夕暮れが近づき、炭窯完成にはまだ至らないが、日没までに土留め作業は終えたいところ。

 その頃、家の補修作業も順調に進み、土壁塗りの長瀬は作業完了! やや雑な出来栄えだが、これで隙間風はシャットアウト!

 一方、炭窯づくりも土留め作業まで完成した。雑木林を切り開き、平に掘って着実に完成へと近づく。残る作業は、表面をさらに掘り、そこに木を入れ、上から土を盛る難しい作業…。しかし、その先には冬を越すための暖かい炭が待っている。

 時刻は午後5時30分をまわり、松岡のガラス戸補修も完了。だが、さらに気になるものが…家の外側の板が1枚外れ、隙間が出来ていた。松岡と長瀬の共同作業で板をあて、釘で打ち込んで完成。こうして戸板の修復作業も終え、隙間風対策は万全!! 作業を終え、囲炉裏の間でくつろぐメンバーたち。

 そんな深まる秋の夜に事件は起きた…。畑に設置した作物の成長記録用カメラに、何かが映った。小屋で八木橋が鳴いたその直後、カメラの前に現れた異様な物体!見開いた瞳孔、そして毛を覆った生き物が畑をうろつく。

 これを受けて、次の日の夜に清が畑で張り込んだ。不気味に物音がして懐中電灯をあててみると、そこに「イノシシ」の姿が!! DASH村の山にはイノシシも住んでいた! どうやら作物をむさぼっているらしく、さらにもう1頭現れた! 残りの作物は大丈夫なのか?

DASH村に新たな危機が訪れた!!

日に日に成長するヤギの八木橋、角も立派に生え、いっそう凛々しくなった。収穫の合間に達也が遊び相手になると、八木橋は角を突き出して達也を押しはじめた! その姿は、今や大人の風格さえ漂う。秋晴れの下、達也とじゃれ合う八木橋、今ではメンバーにとって大切な村の一員となった。